応援団やサムライうさぎについて。あとはアニメ三国演義の歪曲感想とか。
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マチカさんはずっと「天然」と呼ばれる人が嫌いだった。明らかに装っている人もいるし、そうじゃなければ場の空気が読めないただの馬鹿に過ぎないと。
でも、ある時を境に受け入れられるようになったのです。
それは本物の天然に出会ったから……。
ウチの職場の女性なんですけどね。
ある日、彼女にマチカさんが「ごめん、ホッチキス貸して」と頼むと、快く引き出しから出してくれたのですが、どう見ても計算機が机の上へ乗せられてんですよ。
あら聞き間違えたのか、と思いつつマチカさんが「違うよ。ホッチキス」と再度頼むと、なぜか彼女は怪訝な表情でこっちを見つめる。しばらく妙な空気が流れてから、彼女は机を見下ろして「あっ!」と叫んだ。
ようやく聞き間違いに気付いたか、とマチカさんがほっとしたのもつかぬ間、彼女は「うふふ。ホッチキスだと思って計算機出しちゃった!」
えー。
聞き間違えじゃなくて、本気でホッチキスのつもりで計算機出すとか意味が分からない。どんだけ大目に見ても、似ても似つかない。
そんなことがあった日も少し遠くなりかけていた頃、マチカさんが昼食用に買ったアンパンが、不思議なことに雨の日に濡れた犬の匂いがしたのです。
この奇妙な現象を黙っておれず、ちょうど隣にいた例の彼女に「これ匂ってみて。犬の匂いがするから」とアンパンを差し出した。すると彼女は鼻を近付け、ぱっと表情を明るくした。
「ほんとだー! なんで〜?」
そう楽しそうに言った後で、彼女はマチカさんの手首を掴み、アンパンをこちらに押し返して来た。
「マチカさん、これ匂ってみてくださいよ。犬の匂いがしますから!」
えー。
それさっき私が言ったんじゃん。ていうか直後にそれはねえよ。やり取りを瞬時に忘れるとか意味が分からない。
ついに、そんな彼女と県外(都会)へ出張に行くことになった。常人では計り知れない思考回路の彼女が同行すると決まった時点で、かなりの不安を覚えるのも当たり前でございましょう。
でも、こちらがお客様みたいな感じで赴く内容だったので、まず大丈夫だろうと気楽に構えていた。そして向こうでの用事も無事に終わり、あとは帰るだけ。おみやげ何にしようねえ、と話しながら電車に乗り込んだ。
車両内は満員ではないけれど、座席はすべて埋まり、立っている人がちらほらいる状況。ドアの近くに立ったマチカさんはあることに気付いた。
音楽が聞こえて来る。
なんとなしに出所を探ると、すぐ側のシートに座った男性のイヤホンから音が洩れていた。
大きい音で聞いてんでしょうね。よくある迷惑行為です。
マチカさんは「そういうの、いけないんだからね」と思いながらも、せいぜいチラ見する程度で、特に行動は起こさなかった。
しかし突然彼女が「あれ? どこからか音楽聞こえて来ません?」と声を上げた。
ちなみに彼女の声は甲高いのでよく届く。当然ながら車内にも響き、マチカさんは血の気が引いた。
なぜなら音楽を垂れ流す当本人の風体が「俺は東京育ち、HIPHOP育ち。悪い奴らは大体トモダチッ!」を体現しているような人なんですもの。
地雷原へ無邪気に飛び込むのはやめたまえ!
マチカさんは「ちがう、ちがうから」と小声で伝えたのですが、彼女に通じるわけもなく「えー。でもさっきからずっと聞こえますよ」と耳に手を添えるジェスチャーまで加えてアピールし始めた。だからマチカさんも必死の形相になり、視線で彼女へ音の元を知らせたのです。すると、ようやく彼女は分かったらしく、大きくうなずきながら「やだー。都会の電車って音楽が流れてるのかと思いましたよ〜。すごいなーって!」とゲラゲラ笑い出した。気まずさの欠片も見せず、相変わらずの大声で。
やってくれるよ、とマチカさんがげんなりしていると、何とあの男性がもぞもぞ動いて音楽を止めた。
結果的の彼女は社内の騒音を止めたのです。
真の天然はこれほどまでに凄まじいものなのか。その破壊力の大きさ。周囲に及ぼす影響。場の空気を読むなど、小賢しい真似は一切必要ない。
だって無敵なんだもん。
それ以来マチカさんは、天然という人種に畏敬の念を抱くようになった。
これは保護せねばならない。
大きな心で。
でも、ある時を境に受け入れられるようになったのです。
それは本物の天然に出会ったから……。
ウチの職場の女性なんですけどね。
ある日、彼女にマチカさんが「ごめん、ホッチキス貸して」と頼むと、快く引き出しから出してくれたのですが、どう見ても計算機が机の上へ乗せられてんですよ。
あら聞き間違えたのか、と思いつつマチカさんが「違うよ。ホッチキス」と再度頼むと、なぜか彼女は怪訝な表情でこっちを見つめる。しばらく妙な空気が流れてから、彼女は机を見下ろして「あっ!」と叫んだ。
ようやく聞き間違いに気付いたか、とマチカさんがほっとしたのもつかぬ間、彼女は「うふふ。ホッチキスだと思って計算機出しちゃった!」
えー。
聞き間違えじゃなくて、本気でホッチキスのつもりで計算機出すとか意味が分からない。どんだけ大目に見ても、似ても似つかない。
そんなことがあった日も少し遠くなりかけていた頃、マチカさんが昼食用に買ったアンパンが、不思議なことに雨の日に濡れた犬の匂いがしたのです。
この奇妙な現象を黙っておれず、ちょうど隣にいた例の彼女に「これ匂ってみて。犬の匂いがするから」とアンパンを差し出した。すると彼女は鼻を近付け、ぱっと表情を明るくした。
「ほんとだー! なんで〜?」
そう楽しそうに言った後で、彼女はマチカさんの手首を掴み、アンパンをこちらに押し返して来た。
「マチカさん、これ匂ってみてくださいよ。犬の匂いがしますから!」
えー。
それさっき私が言ったんじゃん。ていうか直後にそれはねえよ。やり取りを瞬時に忘れるとか意味が分からない。
ついに、そんな彼女と県外(都会)へ出張に行くことになった。常人では計り知れない思考回路の彼女が同行すると決まった時点で、かなりの不安を覚えるのも当たり前でございましょう。
でも、こちらがお客様みたいな感じで赴く内容だったので、まず大丈夫だろうと気楽に構えていた。そして向こうでの用事も無事に終わり、あとは帰るだけ。おみやげ何にしようねえ、と話しながら電車に乗り込んだ。
車両内は満員ではないけれど、座席はすべて埋まり、立っている人がちらほらいる状況。ドアの近くに立ったマチカさんはあることに気付いた。
音楽が聞こえて来る。
なんとなしに出所を探ると、すぐ側のシートに座った男性のイヤホンから音が洩れていた。
大きい音で聞いてんでしょうね。よくある迷惑行為です。
マチカさんは「そういうの、いけないんだからね」と思いながらも、せいぜいチラ見する程度で、特に行動は起こさなかった。
しかし突然彼女が「あれ? どこからか音楽聞こえて来ません?」と声を上げた。
ちなみに彼女の声は甲高いのでよく届く。当然ながら車内にも響き、マチカさんは血の気が引いた。
なぜなら音楽を垂れ流す当本人の風体が「俺は東京育ち、HIPHOP育ち。悪い奴らは大体トモダチッ!」を体現しているような人なんですもの。
地雷原へ無邪気に飛び込むのはやめたまえ!
マチカさんは「ちがう、ちがうから」と小声で伝えたのですが、彼女に通じるわけもなく「えー。でもさっきからずっと聞こえますよ」と耳に手を添えるジェスチャーまで加えてアピールし始めた。だからマチカさんも必死の形相になり、視線で彼女へ音の元を知らせたのです。すると、ようやく彼女は分かったらしく、大きくうなずきながら「やだー。都会の電車って音楽が流れてるのかと思いましたよ〜。すごいなーって!」とゲラゲラ笑い出した。気まずさの欠片も見せず、相変わらずの大声で。
やってくれるよ、とマチカさんがげんなりしていると、何とあの男性がもぞもぞ動いて音楽を止めた。
結果的の彼女は社内の騒音を止めたのです。
真の天然はこれほどまでに凄まじいものなのか。その破壊力の大きさ。周囲に及ぼす影響。場の空気を読むなど、小賢しい真似は一切必要ない。
だって無敵なんだもん。
それ以来マチカさんは、天然という人種に畏敬の念を抱くようになった。
これは保護せねばならない。
大きな心で。
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