心づくしのメガネ懐石

　職場の人が退職することになったそうで。
　そうで、というのも、あまり付き合いがなかったからです。ウマが合わないとでもいいましょうか。マチカさんはひ弱な草食動物なので、彼女の我の強さを個性として受け入れられなかった。本能的に「ちょｗ怖ェしｗｗ」と隅っこで怯えるしかなかった。それに気がついたら退職していたぐらい職務上関わりがなかったのです。

　というわけで餞別を渡したことも後から聞きました。遠回しにお金を徴収したい様子をチラつかせて来ましたが、一切知らん顔でやり過ごしながら、何を贈ったのかと訊ねると生活雑貨的なものとメガネ男子の写真集だとの返答。

　なんと！　彼女がメガネ男子を好きだなんて知らなかった。もっと早く知っていれば、分かり合えたかもしれません。残念ですね。
　でもメタルフレーム派、セルフレーム派、縁なし派のどの派閥に属しているかで話は変わって来ます。いえ、この世界は奥が深いのでもっと細分化出来ると思います。ですからメガネ男子好きというくくりだけで、簡単に分かり合えるかどうかいささか疑問ですね。むしろ譲れない部分があれば、それは両者の間に深い溝があると言えましょう。
　やはり人間関係は難しいです。

　誰にも聞かれていませんがマチカさんの好物は、細身のメタルフレーム（※ただしイケメンに限る）です。昔はセルフレーム派だったんですが（※ただしイケメンに限る）年月とともに変節しました。

　ええ。まあ結局は面食いなだけだろ、ってオチなんですけどね。ﾍｯ！