応援団やサムライうさぎについて。あとはアニメ三国演義の歪曲感想とか。
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(今週のあらすじ)
気絶から目覚めた周瑜は、荊州、襄陽を奪回するのだと息巻くが、魯粛が思いとどまらせた。自分が劉備のところへ言って返還するよう説得すると言う。
魯粛は劉備と面会すると荊州の明け渡しを求めた。孔明は「その道理はおかしい。もともと荊州をおさめていた劉琦に返すのが道理だ」と答えるも「劉琦は重い病を患っており、もし彼が他界すればその時は荊州を渡す」と約束した。
それを聞いた周瑜は、劉琦がいつ死ぬとも分からないのに馬鹿な約束をしたものだと呆れた。やはり自分が武力で取り返すと言い出したのだが、周囲からまずは療養してほしいと頼まれる。
やがて傷の癒えた周瑜が戻ってくると、孫権が合肥での戦いで負けたと聞く。しかも療養しているあいだに劉備軍が桂陽、武陵、長沙を手に入れ、弓の名手である老将黄忠を傘下に入れてしまったという。
魯粛は劉琦死亡のしらせを聞く。約束してあった荊州の返還を求めたが、またしても孔明の弁舌により要求は煙にまかれうやむやにされてしまう。
帰還した魯粛をどこまでお人好しなのかと呆れていた周瑜は劉備の妻が死んだことを知った。そこで周瑜は一計を案じた。劉備に孫権の妹を嫁がせるといって、呉までおびき出し人質にとり荊州と交換する──。
その案はすぐ実行に移された。
呉の使者から縁談の話を聞いた劉備は罠なのではないかと孔明に相談した。しかし孔明はおかしそうに笑い、ぜひ縁談を受けるよう言った。心配はいらない。きっと無事に花嫁を連れて帰れます、と。
孔明は旅立つ劉備に警護として趙雲をつけた。そして趙雲には三つの小袋を渡し、何かあった時には袋に入れてある指示通りすればかならず助けになると言付けた。
劉備は荊州を孔明に任せ、婚礼のため南徐へ船で向かった。道中、趙雲は怪訝に思う。南徐が近付いても迎えの人間がいない。
これは、どういうことだろうかと考えた趙雲は早速、孔明に渡された袋のひとつを開けた。
そこには劉備が婚礼のためやって来た、と住人に触れてまわること。そして孫策周瑜両名の、妻の父親である喬国老のところへ挨拶に行けと書いてあった。
趙雲は南徐へ到着すると婚礼のためと言って食料を買いあさり、劉備の行脚には楽隊を伴い派手に音楽を奏でさせ、住人には「劉備が孫権の妹を娶るために来た祝いだ」と言って金を撒いて歩いたものだから、劉備の婚礼は広く知れ渡った。
さて、劉備から挨拶を受けた喬国老は、孫権の母親である呉国太の屋敷へ祝いの言葉を述べに訪れた。しかし喬国老から話を聞いた呉国太は「そんな話は聞いていない」と激怒した。それから孫権を呼びつけると、娘の婚礼を勝手に決めるとはどういうつもりだと罵った。
あわてる孫権。婚礼というのは噓で、劉備を暗殺するため周瑜が考えた策略だと弁解した。だが孔明の策略により南徐の住人で婚礼を知らぬものはいない。今から取りやめることなど不可能だった。しかも、もし劉備を暗殺してしまえば、娘は未亡人になってしまうと言って呉国太の怒りはおさまらない。
そこで呉国太は自分が劉備に会って、娘に見合う男かどうか確かめると孫権に申し付けた。孫権は渋々了承し甘露寺にて劉備と面会させると約束して引き下がったのだが、実は、そこで劉備を暗殺しようと考えていた。
以上をふまえて、どれだけ噓か分からないレビュー。
・三寸不爛の舌で追い返される魯粛
「孔明はん。今日は昔のよしみなしで強気にいかせてもらいまっせ」
「お手柔らかにね」
「先だっての赤壁の戦い。あれ、結局は呉の討伐を名目にした曹操の劉備はん捕縛目的でもあったわけです。それをわが軍が撃破したんでっせ。にも関わらずぬれ手に粟で、荊州襄陽の九郡を奪うとはどういう理屈でっしゃろ」
「ぼく、魯粛ちゃんのこと賢いと思ってるよ」
「そらおおきに。答えになっとりませんがな」
「だから魯粛ちゃんみたいに賢い人が、おかしなことを言うもんだねえってふしぎなの。持ち物は持ち主に返るってことわざがあるでしょう? 荊州襄陽の九郡はもともと呉のものでもなんでもないよね。今は亡くなった劉表さまのものだったと知ってるでしょ。で、劉表さまをはじめ、ご子息である劉琦さまは劉備さまの一族だよ。同族を助けて何がおかしいの?」
「それを言うんやったら直接劉琦さまが占領しはるんが筋でっしゃろ。それやったら分かります。でも劉琦さまおらんやないですか」
「うん? 会いたいの? じゃあ連れて来てもらうから待ってて」
劉琦は体を支えられ、ようやく立っているという状態であらわれた。
「こんな状態なもので挨拶も出来ずにすみません」
あやまる劉琦にビビる魯粛。
「分かったでしょ、魯粛ちゃん。でも、ここだけの話、劉琦さまはもう長くないと思うんだよね。だから劉琦さまが亡くなったら返すよ。ね?」
「……で、ユーはすごすごと帰ってきたのか?」
呆れる周瑜。魯粛はいやいや、と片手を振ってみせた。
「劉琦はんが長うないのはホンマでっせ。今日お会いしましたけど死にかけでしたで。半年も持たんのとちゃいますか。そん時に周瑜はんが攻めて行けば劉備はんも文句のつけようがないでしょ」
「人の寿命は分からない。半年先なら、俺のほうが早く死んでいるかもしれないんだぞ」
「そんな……縁起の悪いこと言わんといてください。今度言ったら怒りまっせ」
「ジョークだ、ジョーク。もう言わない」
鬱々とした日々を過ごす周瑜。やがて劉琦が死んだとしらせが届く。周瑜を元気づけるためにも、今度こそはと勇んで出かける魯粛。
「いやー劉琦はんのことはまことに残念でしたなあ。で、返してもらいに来ましたで、劉備はん」
「遠方からお越しいただきまして、どうも。酒の支度もしておりますので、まずはお飲みください」
全裸になれば飲めば荊州を返していただけるのですね、とばかりに魯粛はグイグイと杯を空けた。
「それで本題に入りますけど──」
魯粛が以前の約束について切り出すと、孔明さまがサッと顔色を変えてさえぎりました。
「もうッ! 魯粛ちゃんの馬鹿!」
「ええー。いきなりなんでっか」
「ちょっとは人の話を聞いたらどうなの!」
「いや、まだ何も──」
「魯粛ちゃんが、そんなにものわかりの悪い人だと思わなかったよ!」
「せやから、ものわかりも何も、これからでんがな」
「いい? 漢王朝は高祖劉邦さまから始まって四百年、今日まで受け継がれてるわけ。それなのに今は曹操みたいな逆賊が次々とわいて来て、各地に我が物顔で割拠しちゃってるの。勝手に。嘆かわしいことだねえ。でも劉備さまは高祖さまの血を引いてる。現に皇帝が劉備さまを叔父だと認めてる。じゃあ領地を与えられて当然だよね。それが正統だもん。しかも劉表さまは劉備さまの一族だよ。領地を引き継いで何がおかしいのさ。ぼくの話、聞いてる?」
「へえ、聞いてます」
「それに比べて孫権さまは、劉姓でもなんでもない。朝廷になんの功績があるわけでもない。まあ、いいよ? 僻地をたいらげて威張ってるぐらいならご自由に。でも、それだけで飽き足らず漢王朝の領地まで欲しがるってどういう了見なの。何度も言うけど、この世は劉氏の天下なの。それなのに孫が姓の孫権さまが権利を主張するとか意味が分からないよ。ぼくの話、聞いてる?」
「聞いてますがな」
「大体さ、ことあるごとに呉軍が頑張って曹操を破ったって言うけど、なんか忘れてない? そもそもぼくが祈祷して、東の風を天に借りてなかったら、周瑜の火攻めは成功しなかったよね。そうだよね?」
実際は天候を読み、風が吹くことを知っていただけなのですが、そこをハッタリかまして自分の功績にしてしまった孔明さま。こういうものは言ったもの勝ちです。
「……感謝しとります」
「もし成功しなかったら、どうなってた? 周瑜と孫策さまの奥さんは、種馬曹操に連れて行かれてたよ。朝から晩まで絶世の美人姉妹とハッスルタイムとか、それなんてエロゲ? 魯粛ちゃんの家族だってただじゃ済まなかっただろうねえ。以前、曹操は父親の仇討ちで徐州を奪うと何をやった? 男も女も老人も子供も、生きてるものはみんな殺した。みんなだよ。膨大な数の死骸で川が塞き止められた。あんな光景……二度とごめんだよ」
「そういえば孔明はん、子供のころ徐州に、」
「とにかく。曹操は大虐殺するような奴なんだよ。魯粛ちゃんの三族皆殺しぐらい平気でやっただろうね。今日劉備さまが領地問題に触れなかったのは、いちいち説明しなくても魯粛ちゃんなら、ものの道理が分かってるだろうと思ってたからだよ。それなのに野暮にも程があるね。ビックリだよ」
孔明さまの怒濤の弁舌に魯粛は苦しそうに返した。
「でもですな、それじゃあ具合が悪いんですわ」
「お酒に酔ったの? 吐きそう? ここで吐かないでね」
「そうやのうて。劉備はんが曹操に狙われてのっぴきならん時に、孔明はんを孫権さまに引き合わせたんはワテです。それで赤壁の戦が始まったわけです。それで周瑜はんが荊州を攻めよういうときに止めたんもワテです。おまけに劉琦はんがお亡くなりになったら、荊州を返すいう約束を取り付けたんもワテです。どの面下げて孫権さまと周瑜はんのところへ帰れ言うんですか。きっつい処罰が待っとりますわ。下手したら殺されてまうやん」
「それはヤダ。魯粛ちゃんが死ぬのは嫌だよ」
「まあ、別にええんです。ワテは殺されても、誰も恨みまへん。死生命あり。あらかじめ決まっとった寿命がそれまでやったいうことですから。せやけど領地を明け渡さん劉備はんを孫権さまは許しまへんで。かならず武力で奪いにきます」
「んー。じゃあ荊州を孫権さまから借りてることにしようよ」
「借りてる?」
「そう。荊州を手放しちゃうと劉備さまは居場所がなくなってしまうでしょ。だから他の領地を手に入れるまで待ってくれないかな。実はね、蜀を狙ってるところなんだ。蜀が取れたら荊州は絶対に返すから」
「そう簡単にいきますかな」
「信じられない? 劉備さまには、ぼくがついてるのに?」
「……」
まだ迷う魯粛。孔明さまは愚痴でもこぼすように言います。
「関羽や張飛もいるよ。……一応」
「そうですなあ。天下無双の豪傑がふたりも揃ってはりますからなあ」
「一応ね、一応。心配だったら誓約書を書くよ。ぼくと劉備さまがサインするし。あ、魯粛ちゃんもサインするといいよ。そのほうが孫権さまに報告するとき格好がつくからね。どうだーって見せてやりなよ」
「へえ、分かりました。反故にせんよう、ホンマに頼んまっせ」
「うふふ」
「……で、ユーはお人好しにも誓約書にサインまでして帰って来たのか」
周瑜は呆れ果てた。魯粛は何がいけなかったのかという顔をする。
「がんばりましたで?」
「どこがだ。またしても性悪猫にやられたな。あのな、蜀を取ったら返すというが、それはいつのことになるんだ。一年先か? 五年先か? のらりくらりと荊州に居座り続けるかもしれないんだぞ」
「でも劉備はんは約束を破るようなお人やありませんで」
「俺はユーの性格が好きだが、お人好し過ぎるところだけはどうにかしろ。なんの保証もできない約束を、ユーがサインまでして保証してどうする」
そういえば、そうだ。魯粛はノリでサインした誓約書を手にして青ざめた。
「……どないしましょ。孫権さまに、めっちゃ怒られますやん」
「こんな間抜けな約束をしてきて、他の奴なら斬り捨てるところだが、魯粛。ユーは俺にとって他でもない人間だ。どうにかするから安心しろ」
「すんまへん……」
そこで周瑜が考えたのだが、孫権の妹をエサに劉備を釣り上げる計略でした。
「どうだ魯粛。このアイディアは」
「孫権さまが了承するやろか」
「偽の縁談話で劉備を釣るだけで、何も本当に嫁がせるわけじゃないからな。了承してくださる。それにこの策は孔明に与えるダメージが一番大きい」
「劉備はんやのうて孔明はん?」
「ユーも孔明の劉備に対する度を超した敬愛ぶりを知っているだろう。そこへきてホットな若い娘との縁談話だ。悋気の炎に身を焦がし転げ回るだろうよ」
「今まで孔明はんは周瑜はんをおちょくり倒してましたけど、別に憎たらしかったわけやおまへんで。ああいう性格なだけで、周瑜はんのことは嫌いやなかったんです。むしろ好きやったから、ちょっかい出しとったわけです」
「迷惑この上ない話だな。だが、それがどうした」
「でもこの策略実行しはったら、本格的に恨みを買いまっせ」
「知ったことか。あのナマッチロイ顔が真っ赤になるかと思うとウキウキだ」
「周瑜はんはおモテになりますさかい、色恋沙汰の妬みそねみに狂ったことがないから分からんのでしょうけど、悋気の炎いうんはホンマに恐ろしいもんでっせ」
「ふふ。ユーは詳しいのか? 燃えるような恋の経験があると」
「笑い事やおまへんで。そこだけは火をつけんほうがよろしいんとちゃいますか。なんせ、そこらへんの小娘を怒らすんとはワケがちがいます。相手は孔明はんでっせ。しれっとした顔してはりますけど、うちに秘めたドス黒さは生半可やないですよ。悋気の炎でなんもかんも燃やし尽くして塵も残らんようになりますよ」
「心配しすぎだ。孔明恐るるに足らず!」
「知りまへんで……」
・大笑いで劉備に縁談をすすめる孔明さま
「孫権さま……ていうか周瑜の考えだろうけど、いいんじゃない?」
「しかしなあ。五十の男が自分の娘よりも若いような子を嫁にもらっても釣り合わんだろう。むこうの娘さんだって結婚相手がオッサンじゃかわいそうに」
「むしろ羨まし……いえ、この世で劉備さまに似つかわしくない女の人なんていないよ。光栄に思うべきだね。ふ、ふふ。あはっははは!」
狂ったように笑う孔明さまにビビる劉備。
「どうした孔明。変なものでも食べたのか」
「笑いでもしないと泣きそうだよ! 独り寝で寂しい劉備さまを閨で慰めて、やがて情にほだされた劉備さまとあんなことやこんなことをしようと思ってた計画が台無しだよ!」
「そういうことは心で思って口に出さないものじゃないのか」
「許さない……絶対に許さない」
「そ、そんなに嫌なら断ろうか。別にわたしも命を天秤にかけてまで嫁が欲しいわけでもなし」
「黙らっしゃい! 天下の覇権を争う男が、たかだか縁談話ひとつで怖じ気づくな!」
鬼の形相で睨む孔明さま。
「いや、孔明が怖いんだが」
「皮を斬らせて肉を斬る。肉を斬らせて骨を斬る。この縁談を受けて立ちなさいッ!」
「……分かったから落ち着け」
周瑜ェ……
「他のどんな策略よりもカチンときたよ。ただじゃ済ませないからね。これは万死に値する。地獄の業火に焼かれるものと思え」
魯粛の予感は的中です。キルゾーンに踏み込んだ周瑜。
・劉備の護衛を趙雲に頼む孔明さま
孔明さまを迎えた劉備は「ふたりは水魚の交わりだ」といって重用しています。ですが新参であることには変わりなく、いくら腹黒ドSの高慢ちきな孔明さまとはいえ人間関係には気を使います。
劉備の義兄弟で最古参の関羽と張飛よりも趙雲のほうが頼み事をしやすい。なので何かあると「じゃあ、趙雲で」ということが多いのです。
また関羽や張飛は華々しい活躍をする時もあれば、武勇を誇るあまり人のいうことを聞かず、デカい失敗もしちゃうウッカリ屋さんだったりする。人間らしいといえば人間らしいのですが、その点、趙雲は関張に劣らない猛将でありながらも素直でデカい失敗がない。
そこで劉備の警護など、ウッカリしてもらっては困る場合は趙雲を配置するようです。
・旅立つ劉備と見送る孔明さま
「劉備さま、気をつけてね」
「荊州は孔明に任せたからな。よろしく頼むぞ」
「はあい。いってらっしゃい」
「孔明も元気でな」
手を振る劉備。孔明さまが見えなくなったころ、不安そうにため息をこぼしました。
「心配だな」
「大丈夫ですよ。わたしが命に代えても劉備さまをお守りします!」
趙雲は胸を張った。劉備は口元だけで笑うと来し方を見やった。
「自分の身を案じているわけではない。わたしがいない間、孔明と関羽が喧嘩をしないか心配なのだ。孔明は何が気に入らないのか、すぐ他人を挑発する。しかも今はにこやかに見えて、その実すこぶる機嫌が悪い」
「気に入らないとかではなく、あの先生は生来そういう性格なんでしょう」
「そういう性格といえば、関羽も気位が高いから、挑発されると無視することができない。張飛では仲裁できんだろうし、無邪気におもしろがってはやし立てるかもしれん」
「関羽将軍は襄陽の守りについていますから、先生と顔を合わせることもないです。心配いらないんじゃないでしょうかね。それに、あれはあれで仲がいいんじゃないですか? わたしはそう思いますよ」
「そんなものだろうか。趙雲は誰とも険悪にならずいてくれるから、気苦労がなくて助かるよ」
「イケメンは無益な喧嘩をしないものです」
キリッ
「……ああ。偉いな趙雲は(よく分からんが)」
・孔明さまに渡された袋を開けてみる趙雲
「もうすぐ南徐に着きますけど、なんか様子がおかしいですねえ。そうか、袋はこういう時のためにあるんだな。開けてみますね」
そう言ったものの、趙雲は袋を手に乗せたままじっと眺めている。
「開けないのか?」
訊ねる劉備。趙雲は名状しがたい表情で言う。
「もしかして、この袋のなかには『はずれ』って書いた紙が入ってんじゃないでしょうか」
「まさか、そんはなずはなかろう」
「考えてもみてくださいよ。わざわざ勿体ぶったやりかたで嫌がらせって、いかにもあの先生がやりそうなことじゃないですか?」
「……趙雲。普段、孔明からどんな目に遭わされているんだ」
「怪しいなあ。これ超怪しいですよ。カエルの死骸とか入ってんじゃないかなあ」
「趙雲個人に対しては知らないが、わたしにまで累が及ぶ嫌がらせはしないだろうから、この件は安心していい」
「なるほど。開けてみましょう!」
「ははは(これで納得するんだ)」
・オカンに叱られる孫権
オカンに呼び出されてそそくさとやって来た孫権。
みなさん。こう見えて結構若いんですよ
「母上、ご機嫌いかがですかー」
「おんどれ。どの面下げてやって来とんじゃ」
「お、おんどれ?」
「あたしの生んだ娘を、断りものう嫁にやるとはエエ度胸しとるのゥ」
まさかバレているとは思わなかった孫権。君主であろうとオカン(生みの親かどうか知らないけど)には頭が上がらない。呉はオカンの立場が強いのか、はたまた女性の気性が荒いのか、とにかく孫権はうろたえた。ビビったあげく「だって、周瑜がね。周瑜がそうしようって言ったんだもん」とあっさり白状した。
今度ビビったのは喬国老だった。娘婿の周瑜が首謀者とあれば、のんきに構えていられない。怒りの矛先が自分へ向く前に呉国太をなだめた。
孫権(喬国老ナイスフォロー。周瑜のせいにして、さっさと劉備を始末しないとな)
劉備と周瑜。キルゾーンから生還できるのはどっちだ!
「またね」「殿は種馬なんですね」
気絶から目覚めた周瑜は、荊州、襄陽を奪回するのだと息巻くが、魯粛が思いとどまらせた。自分が劉備のところへ言って返還するよう説得すると言う。
魯粛は劉備と面会すると荊州の明け渡しを求めた。孔明は「その道理はおかしい。もともと荊州をおさめていた劉琦に返すのが道理だ」と答えるも「劉琦は重い病を患っており、もし彼が他界すればその時は荊州を渡す」と約束した。
それを聞いた周瑜は、劉琦がいつ死ぬとも分からないのに馬鹿な約束をしたものだと呆れた。やはり自分が武力で取り返すと言い出したのだが、周囲からまずは療養してほしいと頼まれる。
やがて傷の癒えた周瑜が戻ってくると、孫権が合肥での戦いで負けたと聞く。しかも療養しているあいだに劉備軍が桂陽、武陵、長沙を手に入れ、弓の名手である老将黄忠を傘下に入れてしまったという。
魯粛は劉琦死亡のしらせを聞く。約束してあった荊州の返還を求めたが、またしても孔明の弁舌により要求は煙にまかれうやむやにされてしまう。
帰還した魯粛をどこまでお人好しなのかと呆れていた周瑜は劉備の妻が死んだことを知った。そこで周瑜は一計を案じた。劉備に孫権の妹を嫁がせるといって、呉までおびき出し人質にとり荊州と交換する──。
その案はすぐ実行に移された。
呉の使者から縁談の話を聞いた劉備は罠なのではないかと孔明に相談した。しかし孔明はおかしそうに笑い、ぜひ縁談を受けるよう言った。心配はいらない。きっと無事に花嫁を連れて帰れます、と。
孔明は旅立つ劉備に警護として趙雲をつけた。そして趙雲には三つの小袋を渡し、何かあった時には袋に入れてある指示通りすればかならず助けになると言付けた。
劉備は荊州を孔明に任せ、婚礼のため南徐へ船で向かった。道中、趙雲は怪訝に思う。南徐が近付いても迎えの人間がいない。
これは、どういうことだろうかと考えた趙雲は早速、孔明に渡された袋のひとつを開けた。
そこには劉備が婚礼のためやって来た、と住人に触れてまわること。そして孫策周瑜両名の、妻の父親である喬国老のところへ挨拶に行けと書いてあった。
趙雲は南徐へ到着すると婚礼のためと言って食料を買いあさり、劉備の行脚には楽隊を伴い派手に音楽を奏でさせ、住人には「劉備が孫権の妹を娶るために来た祝いだ」と言って金を撒いて歩いたものだから、劉備の婚礼は広く知れ渡った。
さて、劉備から挨拶を受けた喬国老は、孫権の母親である呉国太の屋敷へ祝いの言葉を述べに訪れた。しかし喬国老から話を聞いた呉国太は「そんな話は聞いていない」と激怒した。それから孫権を呼びつけると、娘の婚礼を勝手に決めるとはどういうつもりだと罵った。
あわてる孫権。婚礼というのは噓で、劉備を暗殺するため周瑜が考えた策略だと弁解した。だが孔明の策略により南徐の住人で婚礼を知らぬものはいない。今から取りやめることなど不可能だった。しかも、もし劉備を暗殺してしまえば、娘は未亡人になってしまうと言って呉国太の怒りはおさまらない。
そこで呉国太は自分が劉備に会って、娘に見合う男かどうか確かめると孫権に申し付けた。孫権は渋々了承し甘露寺にて劉備と面会させると約束して引き下がったのだが、実は、そこで劉備を暗殺しようと考えていた。
以上をふまえて、どれだけ噓か分からないレビュー。
・三寸不爛の舌で追い返される魯粛
「孔明はん。今日は昔のよしみなしで強気にいかせてもらいまっせ」
「お手柔らかにね」
「先だっての赤壁の戦い。あれ、結局は呉の討伐を名目にした曹操の劉備はん捕縛目的でもあったわけです。それをわが軍が撃破したんでっせ。にも関わらずぬれ手に粟で、荊州襄陽の九郡を奪うとはどういう理屈でっしゃろ」
「ぼく、魯粛ちゃんのこと賢いと思ってるよ」
「そらおおきに。答えになっとりませんがな」
「だから魯粛ちゃんみたいに賢い人が、おかしなことを言うもんだねえってふしぎなの。持ち物は持ち主に返るってことわざがあるでしょう? 荊州襄陽の九郡はもともと呉のものでもなんでもないよね。今は亡くなった劉表さまのものだったと知ってるでしょ。で、劉表さまをはじめ、ご子息である劉琦さまは劉備さまの一族だよ。同族を助けて何がおかしいの?」
「それを言うんやったら直接劉琦さまが占領しはるんが筋でっしゃろ。それやったら分かります。でも劉琦さまおらんやないですか」
「うん? 会いたいの? じゃあ連れて来てもらうから待ってて」
劉琦は体を支えられ、ようやく立っているという状態であらわれた。
「こんな状態なもので挨拶も出来ずにすみません」
あやまる劉琦にビビる魯粛。
「分かったでしょ、魯粛ちゃん。でも、ここだけの話、劉琦さまはもう長くないと思うんだよね。だから劉琦さまが亡くなったら返すよ。ね?」
「……で、ユーはすごすごと帰ってきたのか?」
呆れる周瑜。魯粛はいやいや、と片手を振ってみせた。
「劉琦はんが長うないのはホンマでっせ。今日お会いしましたけど死にかけでしたで。半年も持たんのとちゃいますか。そん時に周瑜はんが攻めて行けば劉備はんも文句のつけようがないでしょ」
「人の寿命は分からない。半年先なら、俺のほうが早く死んでいるかもしれないんだぞ」
「そんな……縁起の悪いこと言わんといてください。今度言ったら怒りまっせ」
「ジョークだ、ジョーク。もう言わない」
鬱々とした日々を過ごす周瑜。やがて劉琦が死んだとしらせが届く。周瑜を元気づけるためにも、今度こそはと勇んで出かける魯粛。
「いやー劉琦はんのことはまことに残念でしたなあ。で、返してもらいに来ましたで、劉備はん」
「遠方からお越しいただきまして、どうも。酒の支度もしておりますので、まずはお飲みください」
「それで本題に入りますけど──」
魯粛が以前の約束について切り出すと、孔明さまがサッと顔色を変えてさえぎりました。
「もうッ! 魯粛ちゃんの馬鹿!」
「ええー。いきなりなんでっか」
「ちょっとは人の話を聞いたらどうなの!」
「いや、まだ何も──」
「魯粛ちゃんが、そんなにものわかりの悪い人だと思わなかったよ!」
「せやから、ものわかりも何も、これからでんがな」
「いい? 漢王朝は高祖劉邦さまから始まって四百年、今日まで受け継がれてるわけ。それなのに今は曹操みたいな逆賊が次々とわいて来て、各地に我が物顔で割拠しちゃってるの。勝手に。嘆かわしいことだねえ。でも劉備さまは高祖さまの血を引いてる。現に皇帝が劉備さまを叔父だと認めてる。じゃあ領地を与えられて当然だよね。それが正統だもん。しかも劉表さまは劉備さまの一族だよ。領地を引き継いで何がおかしいのさ。ぼくの話、聞いてる?」
「へえ、聞いてます」
「それに比べて孫権さまは、劉姓でもなんでもない。朝廷になんの功績があるわけでもない。まあ、いいよ? 僻地をたいらげて威張ってるぐらいならご自由に。でも、それだけで飽き足らず漢王朝の領地まで欲しがるってどういう了見なの。何度も言うけど、この世は劉氏の天下なの。それなのに孫が姓の孫権さまが権利を主張するとか意味が分からないよ。ぼくの話、聞いてる?」
「聞いてますがな」
「大体さ、ことあるごとに呉軍が頑張って曹操を破ったって言うけど、なんか忘れてない? そもそもぼくが祈祷して、東の風を天に借りてなかったら、周瑜の火攻めは成功しなかったよね。そうだよね?」
実際は天候を読み、風が吹くことを知っていただけなのですが、そこをハッタリかまして自分の功績にしてしまった孔明さま。こういうものは言ったもの勝ちです。
「……感謝しとります」
「もし成功しなかったら、どうなってた? 周瑜と孫策さまの奥さんは、種馬曹操に連れて行かれてたよ。朝から晩まで絶世の美人姉妹とハッスルタイムとか、それなんてエロゲ? 魯粛ちゃんの家族だってただじゃ済まなかっただろうねえ。以前、曹操は父親の仇討ちで徐州を奪うと何をやった? 男も女も老人も子供も、生きてるものはみんな殺した。みんなだよ。膨大な数の死骸で川が塞き止められた。あんな光景……二度とごめんだよ」
「そういえば孔明はん、子供のころ徐州に、」
「とにかく。曹操は大虐殺するような奴なんだよ。魯粛ちゃんの三族皆殺しぐらい平気でやっただろうね。今日劉備さまが領地問題に触れなかったのは、いちいち説明しなくても魯粛ちゃんなら、ものの道理が分かってるだろうと思ってたからだよ。それなのに野暮にも程があるね。ビックリだよ」
孔明さまの怒濤の弁舌に魯粛は苦しそうに返した。
「でもですな、それじゃあ具合が悪いんですわ」
「お酒に酔ったの? 吐きそう? ここで吐かないでね」
「そうやのうて。劉備はんが曹操に狙われてのっぴきならん時に、孔明はんを孫権さまに引き合わせたんはワテです。それで赤壁の戦が始まったわけです。それで周瑜はんが荊州を攻めよういうときに止めたんもワテです。おまけに劉琦はんがお亡くなりになったら、荊州を返すいう約束を取り付けたんもワテです。どの面下げて孫権さまと周瑜はんのところへ帰れ言うんですか。きっつい処罰が待っとりますわ。下手したら殺されてまうやん」
「それはヤダ。魯粛ちゃんが死ぬのは嫌だよ」
「まあ、別にええんです。ワテは殺されても、誰も恨みまへん。死生命あり。あらかじめ決まっとった寿命がそれまでやったいうことですから。せやけど領地を明け渡さん劉備はんを孫権さまは許しまへんで。かならず武力で奪いにきます」
「んー。じゃあ荊州を孫権さまから借りてることにしようよ」
「借りてる?」
「そう。荊州を手放しちゃうと劉備さまは居場所がなくなってしまうでしょ。だから他の領地を手に入れるまで待ってくれないかな。実はね、蜀を狙ってるところなんだ。蜀が取れたら荊州は絶対に返すから」
「そう簡単にいきますかな」
「信じられない? 劉備さまには、ぼくがついてるのに?」
「……」
まだ迷う魯粛。孔明さまは愚痴でもこぼすように言います。
「関羽や張飛もいるよ。……一応」
「そうですなあ。天下無双の豪傑がふたりも揃ってはりますからなあ」
「一応ね、一応。心配だったら誓約書を書くよ。ぼくと劉備さまがサインするし。あ、魯粛ちゃんもサインするといいよ。そのほうが孫権さまに報告するとき格好がつくからね。どうだーって見せてやりなよ」
「へえ、分かりました。反故にせんよう、ホンマに頼んまっせ」
「うふふ」
「……で、ユーはお人好しにも誓約書にサインまでして帰って来たのか」
周瑜は呆れ果てた。魯粛は何がいけなかったのかという顔をする。
「がんばりましたで?」
「どこがだ。またしても性悪猫にやられたな。あのな、蜀を取ったら返すというが、それはいつのことになるんだ。一年先か? 五年先か? のらりくらりと荊州に居座り続けるかもしれないんだぞ」
「でも劉備はんは約束を破るようなお人やありませんで」
「俺はユーの性格が好きだが、お人好し過ぎるところだけはどうにかしろ。なんの保証もできない約束を、ユーがサインまでして保証してどうする」
そういえば、そうだ。魯粛はノリでサインした誓約書を手にして青ざめた。
「……どないしましょ。孫権さまに、めっちゃ怒られますやん」
「こんな間抜けな約束をしてきて、他の奴なら斬り捨てるところだが、魯粛。ユーは俺にとって他でもない人間だ。どうにかするから安心しろ」
「すんまへん……」
そこで周瑜が考えたのだが、孫権の妹をエサに劉備を釣り上げる計略でした。
「どうだ魯粛。このアイディアは」
「孫権さまが了承するやろか」
「偽の縁談話で劉備を釣るだけで、何も本当に嫁がせるわけじゃないからな。了承してくださる。それにこの策は孔明に与えるダメージが一番大きい」
「劉備はんやのうて孔明はん?」
「ユーも孔明の劉備に対する度を超した敬愛ぶりを知っているだろう。そこへきてホットな若い娘との縁談話だ。悋気の炎に身を焦がし転げ回るだろうよ」
「今まで孔明はんは周瑜はんをおちょくり倒してましたけど、別に憎たらしかったわけやおまへんで。ああいう性格なだけで、周瑜はんのことは嫌いやなかったんです。むしろ好きやったから、ちょっかい出しとったわけです」
「迷惑この上ない話だな。だが、それがどうした」
「でもこの策略実行しはったら、本格的に恨みを買いまっせ」
「知ったことか。あのナマッチロイ顔が真っ赤になるかと思うとウキウキだ」
「周瑜はんはおモテになりますさかい、色恋沙汰の妬みそねみに狂ったことがないから分からんのでしょうけど、悋気の炎いうんはホンマに恐ろしいもんでっせ」
「ふふ。ユーは詳しいのか? 燃えるような恋の経験があると」
「笑い事やおまへんで。そこだけは火をつけんほうがよろしいんとちゃいますか。なんせ、そこらへんの小娘を怒らすんとはワケがちがいます。相手は孔明はんでっせ。しれっとした顔してはりますけど、うちに秘めたドス黒さは生半可やないですよ。悋気の炎でなんもかんも燃やし尽くして塵も残らんようになりますよ」
「心配しすぎだ。孔明恐るるに足らず!」
「知りまへんで……」
・大笑いで劉備に縁談をすすめる孔明さま
「孫権さま……ていうか周瑜の考えだろうけど、いいんじゃない?」
「しかしなあ。五十の男が自分の娘よりも若いような子を嫁にもらっても釣り合わんだろう。むこうの娘さんだって結婚相手がオッサンじゃかわいそうに」
「むしろ羨まし……いえ、この世で劉備さまに似つかわしくない女の人なんていないよ。光栄に思うべきだね。ふ、ふふ。あはっははは!」
狂ったように笑う孔明さまにビビる劉備。
「どうした孔明。変なものでも食べたのか」
「笑いでもしないと泣きそうだよ! 独り寝で寂しい劉備さまを閨で慰めて、やがて情にほだされた劉備さまとあんなことやこんなことをしようと思ってた計画が台無しだよ!」
「そういうことは心で思って口に出さないものじゃないのか」
「許さない……絶対に許さない」
「そ、そんなに嫌なら断ろうか。別にわたしも命を天秤にかけてまで嫁が欲しいわけでもなし」
「黙らっしゃい! 天下の覇権を争う男が、たかだか縁談話ひとつで怖じ気づくな!」
鬼の形相で睨む孔明さま。
「いや、孔明が怖いんだが」
「皮を斬らせて肉を斬る。肉を斬らせて骨を斬る。この縁談を受けて立ちなさいッ!」
「……分かったから落ち着け」
周瑜ェ……
「他のどんな策略よりもカチンときたよ。ただじゃ済ませないからね。これは万死に値する。地獄の業火に焼かれるものと思え」
魯粛の予感は的中です。キルゾーンに踏み込んだ周瑜。
・劉備の護衛を趙雲に頼む孔明さま
孔明さまを迎えた劉備は「ふたりは水魚の交わりだ」といって重用しています。ですが新参であることには変わりなく、いくら腹黒ドSの高慢ちきな孔明さまとはいえ人間関係には気を使います。
劉備の義兄弟で最古参の関羽と張飛よりも趙雲のほうが頼み事をしやすい。なので何かあると「じゃあ、趙雲で」ということが多いのです。
また関羽や張飛は華々しい活躍をする時もあれば、武勇を誇るあまり人のいうことを聞かず、デカい失敗もしちゃうウッカリ屋さんだったりする。人間らしいといえば人間らしいのですが、その点、趙雲は関張に劣らない猛将でありながらも素直でデカい失敗がない。
そこで劉備の警護など、ウッカリしてもらっては困る場合は趙雲を配置するようです。
・旅立つ劉備と見送る孔明さま
「劉備さま、気をつけてね」
「荊州は孔明に任せたからな。よろしく頼むぞ」
「はあい。いってらっしゃい」
「孔明も元気でな」
手を振る劉備。孔明さまが見えなくなったころ、不安そうにため息をこぼしました。
「心配だな」
「大丈夫ですよ。わたしが命に代えても劉備さまをお守りします!」
趙雲は胸を張った。劉備は口元だけで笑うと来し方を見やった。
「自分の身を案じているわけではない。わたしがいない間、孔明と関羽が喧嘩をしないか心配なのだ。孔明は何が気に入らないのか、すぐ他人を挑発する。しかも今はにこやかに見えて、その実すこぶる機嫌が悪い」
「気に入らないとかではなく、あの先生は生来そういう性格なんでしょう」
「そういう性格といえば、関羽も気位が高いから、挑発されると無視することができない。張飛では仲裁できんだろうし、無邪気におもしろがってはやし立てるかもしれん」
「関羽将軍は襄陽の守りについていますから、先生と顔を合わせることもないです。心配いらないんじゃないでしょうかね。それに、あれはあれで仲がいいんじゃないですか? わたしはそう思いますよ」
「そんなものだろうか。趙雲は誰とも険悪にならずいてくれるから、気苦労がなくて助かるよ」
「イケメンは無益な喧嘩をしないものです」
キリッ
「……ああ。偉いな趙雲は(よく分からんが)」
・孔明さまに渡された袋を開けてみる趙雲
「もうすぐ南徐に着きますけど、なんか様子がおかしいですねえ。そうか、袋はこういう時のためにあるんだな。開けてみますね」
そう言ったものの、趙雲は袋を手に乗せたままじっと眺めている。
「開けないのか?」
訊ねる劉備。趙雲は名状しがたい表情で言う。
「もしかして、この袋のなかには『はずれ』って書いた紙が入ってんじゃないでしょうか」
「まさか、そんはなずはなかろう」
「考えてもみてくださいよ。わざわざ勿体ぶったやりかたで嫌がらせって、いかにもあの先生がやりそうなことじゃないですか?」
「……趙雲。普段、孔明からどんな目に遭わされているんだ」
「怪しいなあ。これ超怪しいですよ。カエルの死骸とか入ってんじゃないかなあ」
「趙雲個人に対しては知らないが、わたしにまで累が及ぶ嫌がらせはしないだろうから、この件は安心していい」
「なるほど。開けてみましょう!」
「ははは(これで納得するんだ)」
・オカンに叱られる孫権
オカンに呼び出されてそそくさとやって来た孫権。
みなさん。こう見えて結構若いんですよ
「母上、ご機嫌いかがですかー」
「おんどれ。どの面下げてやって来とんじゃ」
「お、おんどれ?」
「あたしの生んだ娘を、断りものう嫁にやるとはエエ度胸しとるのゥ」
まさかバレているとは思わなかった孫権。君主であろうとオカン(生みの親かどうか知らないけど)には頭が上がらない。呉はオカンの立場が強いのか、はたまた女性の気性が荒いのか、とにかく孫権はうろたえた。ビビったあげく「だって、周瑜がね。周瑜がそうしようって言ったんだもん」とあっさり白状した。
今度ビビったのは喬国老だった。娘婿の周瑜が首謀者とあれば、のんきに構えていられない。怒りの矛先が自分へ向く前に呉国太をなだめた。
孫権(喬国老ナイスフォロー。周瑜のせいにして、さっさと劉備を始末しないとな)
劉備と周瑜。キルゾーンから生還できるのはどっちだ!
「またね」「殿は種馬なんですね」
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