応援団やサムライうさぎについて。あとはアニメ三国演義の歪曲感想とか。
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今週のあらすじ
華容道で曹操と対峙した関羽。
疲労困憊の曹操軍にはわずかな兵しかいない。程昱はここを切り抜けるため、関羽に情けを請うよう曹操へ提案した。背に腹は代えられず、曹操は程昱の意見を受け入れ命乞いをした。義侠心に厚い関羽は逡巡したのち、かつての恩義に報いるため曹操を逃がしてしまった。
そして曹操は曹仁に助けられ、南郡の城へ立ち寄り軍を休めた。
その晩、食事の席で曹操がひとり涙を流しているので程昱が心配して声をかけた。すると曹操は「郭嘉が生きていれば、こんなひどい負け方は絶対にしなかったものを」と、若くして死んだ軍師の才能を惜しんだ。
一方劉備軍営では趙雲や張飛などの武将が華々しい戦果を報告していた。そこへ戻ってきた関羽は曹操を逃がしてしまったこと、そして自分を処罰するよう申し出た。孔明は関羽の首をはねろと命令したが、張飛を始めとして他の武将達が許しを請うた。劉備の頼みもあったので、孔明はそれを受け今後功績を立てることをもって関羽の償いとさせた。
赤壁に勝利した周瑜は南郡の侵攻を開始したのだが、その道中に劉備からの使者が待っており、周瑜を酒宴に招いた。酒宴の席には劉備と孔明がいた。周瑜は南郡近くに駐留している劉備に「あなたも南郡を狙っているのか」と訊ねた。それに劉備は「いいえ。しかし周瑜どのがいらないというのであれば」と答えた。周瑜は「わたしが南郡を奪えなければ、あとは好きにすればいい」と約束し酒の杯を掲げた。
酒宴からの帰途で魯粛が「なぜあのようなことを言ったのか」と諌めたが「南郡は確実に奪えるのだから大丈夫だ」と周瑜は笑った。
周瑜が帰ったのち、劉備は孔明へ「わたしもそろそろ安住の地が欲しいものだ」と言った。孔明は「ですから周瑜と曹仁を戦わせておけばよいのです」と意味ありげに返した。
周瑜の南郡侵攻は始めこそうまく進んだものの、いざ南郡の城へ突入すると曹仁の軍勢に奇襲をかけられ、毒を塗った弓矢により負傷してしまった。治療した軍医は「怒れば傷が開いてしまう」と言って静かに療養することをすすめた。
ところが曹仁軍が周瑜のいる砦までやって来て、出て来て戦えと罵った。兵士達も一斉に周瑜を罵倒する。怒った周瑜は応戦に出たが、血を吐き落馬した。だが、それは曹仁を油断させるための周瑜の芝居だった。
騙された曹仁は周瑜の陣営に夜襲をかけた。突入した周瑜の陣営はもぬけの殻だった。曹仁は自分をおびき込む罠だと気付いて引き返そうとしたが、隠れていた周瑜軍から火矢を浴びせかけられ大打撃を受けた。
多くの兵を失い、もう南郡を守りきれないと諦めた曹仁は襄陽へ撤退した。
意気揚々と南郡へ入ろうとする周瑜。
そのとき城壁に劉備の旗が立った。周瑜が曹仁と戦っている間を狙い、趙雲が手薄になった南郡を先に奪っていたのだった。奪回しようにも守備が堅く手が出せない。周瑜は南郡奪回は一旦先に延ばし、荊州と襄陽を落とそうとするが、すでにそこも関羽と張飛に占領されていた。
孔明の策略により劉備軍は戦うことなく領地を手に入れたのだ。孔明に裏をかかれ利用されたと分かった周瑜は激怒し、吐血したあげく倒れてしまった。
以上を踏まえてピックアップ
・曹操に命乞いを提案する程昱
「関羽は武勇だけではなく、義理人情を重んじると聞いています。殿は以前ご恩を施されました。逃がしてくれるよう頼まれてはどうです?」
前回、虫の息で置き去りにされた程昱が脅威の回復力で登場。軍師たるものベホマとまではいかずとも、ベホイミぐらい習得していなければ勤まらないのだ。そして張遼は前回出ずっぱりで奮闘したというのに、今回の登場は一瞬だけ。チンポジ発言がよくなかったらしい。曹操は祖父が宦官であったため、チンコ関係の話はタブーだったのかもしれない。
・食事の席で泣く曹操を案じる程昱
「郭嘉がいれば……」発言に度肝を抜かれる程昱。浮かれる曹操に程昱は何度も忠告していたというのに。それをまるでなかったかのように、かつて愛した郭嘉たんを思い出し傷心にくれる曹操。思い出は美化されるといいますが、泣きたいのは程昱のほうだ。
・戦勝報告に沸く劉備軍
やったね
「多くの戦利品を奪いました!」と聞き、劉備は「まことに神のような策略だ」と献策した孔明さまを褒める。孔明さまは「うまくいって当たり前」といわんばかりの澄まし顔でうなずく。
そこへ関羽が気まずそうに帰ってくる。酒をついだ杯を持って歩み寄る孔明さま。
「あ、関羽将軍。待ってたよォ。逆賊曹操を蹴散らしたんだよね。すごーい。それなのに、出迎えもしなくってごめんね」
「……」
関羽は苦しそうに視線をそらす。
「どうしたの? 顔色が悪いよ!」
顔色を悪くした理由なんて分かりきっているくせに、白々しくも心配してみせる孔明さまのドSっぷり。
孔明さまにしてみれば、あそこで関羽が曹操を討ち取っても逃がしても、どちらでもよかったのです。むしろ曹操が死んでしまえば呉の力が強大になる。そうなると真っ先に狙われるのは劉備です。だから劉備が強力な地盤を得て他の勢力に対抗できるようになるまでは、呉にとって曹操は脅威でいてもらいたい。
そうとは知らずに自分の不甲斐なさを悔いる関羽。
「曹操を逃がしてしまった……」
「ええー。でもさすがに戦利品はあるでしょ? まさか、よもや、手ぶらで帰って来たとかありえないでしょ?」
孔明さまも、ここぞとばかりに関羽をいじめます。
「……何もない」
「へえ、やっぱり」
劉備もビックリの極悪フェイス。
「曹操に恩義を返すために逃がしたんだ。誓約書がある以上は軍法通り裁くしかないねえ。はーい、じゃあ誰か関羽を外に連れ出して首を斬ってー。さよなら関羽」
助命を嘆願する武将達。弟のこととあれば、劉備も下手に出て孔明さまをなだめます。
「ふん」
劉備に対してもこの高慢ちきぶり。
というより劉備が必死になって関羽をかばうのがおもしろくないだけかもしれません。
今までは自分に逆らう関羽や張飛をなだめて、下にも置かない待遇をしてくれた劉備。でもどれだけ「孔明は賢いね」と褒められても、結局劉備にとって大切なのは義兄弟の関羽と張飛なのだと見せつけられてしまった。
別に本気で関羽を処刑する気はない孔明さま。その上で関羽いじめを楽しんでいたのだけれど、急につまらなくなって投げやりに言いました。
「じゃあ功績を立てて償ってもらうからね」
なんにせよ。
今回のことで関羽をはじめ、彼を庇った他の武将にも莫大な借りを作れたことは確実です。ちょっとヘコんだものの、めげずに劉備へ話しかけます。
「あと許してあげる代わりに、これからは毎日劉備さまと一緒に寝てもいいことにしよ──」
「さて。軍師どののお許しも出たことだし、今日の功績を肴に酒宴を開こうではないか。はっは」
「……うぅ」
・周瑜と孔明さまの再会in酒宴
「また会ったな孔明」
「うわあ。魯粛ちゃん、元気だった?」
「……」
「(スルーされてるやん)元気でっせ。孔明はんも元気そうで何よりです」
「うふふ。似た者同士が並んじゃったね。劉備さまと魯粛ちゃん、やっぱり似てるよ」
「孔明はんはそう言いますけど、ワテにはどこが似てんのかさっぱり分かりまへんなあ」
「自分のことって案外分からないものなんだね」
・劉備に無謀な約束をした周瑜
「ホンマにもう……」
南郡をとれなかったら、そのあと劉備がどうしようがご自由に。そう言った周瑜に魯粛は心中穏やかでいられない。
「また、あないなこと言うて……知りまへんで」
「あの劉備という男。この乱世であちこち流浪し負け戦を繰り返しながらもしぶとく生き残っている。なかなか食えない男のようだな。同じ穴の狢である孔明と気が合うわけだ。孔明を葬っておけなかったことがつくづく残念でならない」
「ワテこそ残念でなりまへんわ。もっと泰平の天下やったら、周瑜はんと孔明はん仲良うなれたかもしれへんのに」
「それはないな」
「なんでですか」
「ユーは孔明の性格を知っておいて、本当にそう思うのか?」
「まあ、相当ねじ曲がった性格してはりますけど、どうも憎まれへんのです。うちの陣営におったときも、よう話し相手になりに来てましたで」
「探りを入れていただけだろう、それは。孔明はつねに計算づくで動いている」
「それもあるんでしょうけど……。でもひとり高みに立って俯瞰してはるようなお人ですけど、それはそれで寂しんやろな思うてたんです。そのことに本人が気付いてはるかどうか……分かりまへんけど。ワテが思うに昔から人並みはずれて優秀な人いうんは、そういうところがあるんやないでしょうか。聡いだけに見えんでええもんまでよう見える。どこか周囲と馴染まれへん。そんな疎外感を引きずって生きてるんやないでしょうか。せやから仁徳なお人の劉備はんに付いて行こう思うたんやないでしょうか。そういう人の側におったら安らぐんでしょうな。利害が絡まんかったら人懐こいもんでっせ」
「まず、その前提が間違っているな。どれだけ平和な世の中でも、利害のない関係などありえんだろう」
「周瑜はんとは幼なじみの孫策さまともですか?」
魯粛は意外そうに言った。孫策は孫権の兄であり、周瑜とは断金の交わりと呼ばれた親友だった。その孫策の遺言もあって周瑜は孫権をよく補佐していた。
「死んだ人間と、どうやって親交を結べと言うんだ」
「……なんか冷たいように聞こえますけど。そんな、もう忘れたみたいな言い方せんでも」
「孫策は俺にとって唯一無私でいられる、最初で最後の存在だった。でも、もういない。だからそんな関係は存在しない。しなくなったんだ。たしかに俺は冷たい人間だろう。死んだ人間に思いを馳せるでもなく、ひたすら忘却という慈悲を今でも毎日願っているんだからな」
「あの……ワテ……いらんこと言うて、すんまへん」
「……」
周瑜は思い詰めたような顔で前を見つめていた。美周郎ともてはやされる周瑜の精悍な容貌は、ひとたび黙ってしまうとひどく冷たく見える。酷薄な冷淡さといよりは誰もよせつけない孤高の険しさだった。魯粛はうかつに孫策の名を口にしたことを後悔した。
「ホンマおこがましいこと言いますけど、なんの慰めにもならんやろうけど、ワテでよかったらいつでも話し相手になりますさかい、元気出しておくんはなれ」
周瑜は相好を崩した。
「ユーは本当にお人好しだな。孔明を真似て困らせてみただけなんだが、ちょっとお灸が効きすぎたようだな。気にするな。魯粛は今でもじゅうぶん俺の助けになっているじゃないか」
黙りこくる魯粛。孔明さまが「ぼくと周瑜は似ている」と言った意味が少し分かった気がしたのでした。
・周瑜の南郡侵攻に不安になる劉備
「周瑜に南郡をとられてしまうと、わたしは再びさすらいの身になってしまう。そろそろ安住の地が欲しいのだが」
劉備が言うと、孔明さまは頬を赤らめうつむいた。
「分かりました。しあわせにしてください」
「民のしあわせなら、いつも願っているが?」
「そうじゃなくて、ぼくのことしあわせにしてください。頑張っていい奥さんになります」
「いまいち話が見えないな」
「だってふたりの安住の地が欲しいだなんてプロポーズでしょう?」
「……ふたりの?」
「言ってない?」
「言ってない」
「……えっと」
「周瑜に南郡をとられてしまうと、わたしは再びさすらいの身になってしまう。そろそろ安住の地が欲しいのだが」
優しい劉備は話を戻し、孔明さまの暴走をなかったことにしてくれたようです。
「し、心配いりません。いりませんとも。いるもんか。曹仁と周瑜を戦わせておけば、南郡は劉備さまのものになるよ。ちゃーんと考えてあるんだから」
「ふむ。孔明に任せるか」
・お芝居で倒れる周瑜
派手に血を吐いておきながら、あとで演技だと言い張る周瑜。デニーロもびっくりの演技。でも、これはどっちかと言うとやせ我慢の芝居じゃないのか。
元祖吐血イケメンの名はダテじゃないぜ!
・孔明さまに利用され、ついにブチ切れた周瑜
キィー!
「あのドグサレが。許さん。絶対に許さん」
「大都督、落ち着いてください。傷が開きますから」
「うるさい。孔明を縛り上げて犯してやる。毎日規則正しく犯してやる。いいか、いきなり全裸にはしない。少しずつ脱がせながら、やめてよゥぼく男の子なのにこんなの嫌だよゥとか言わせてやるッ」
「大都督、人前で性癖を披露しないでください」
「ふん。嫌がるのは最初だけだ。そのうち従順になってこう言い出すんだ。ご主人さまのおチ……ミル……くだ……」
興奮怒りのあまり、周瑜は再度吐血したのでした。
「またね」「変態だらけだ……」
華容道で曹操と対峙した関羽。
疲労困憊の曹操軍にはわずかな兵しかいない。程昱はここを切り抜けるため、関羽に情けを請うよう曹操へ提案した。背に腹は代えられず、曹操は程昱の意見を受け入れ命乞いをした。義侠心に厚い関羽は逡巡したのち、かつての恩義に報いるため曹操を逃がしてしまった。
そして曹操は曹仁に助けられ、南郡の城へ立ち寄り軍を休めた。
その晩、食事の席で曹操がひとり涙を流しているので程昱が心配して声をかけた。すると曹操は「郭嘉が生きていれば、こんなひどい負け方は絶対にしなかったものを」と、若くして死んだ軍師の才能を惜しんだ。
一方劉備軍営では趙雲や張飛などの武将が華々しい戦果を報告していた。そこへ戻ってきた関羽は曹操を逃がしてしまったこと、そして自分を処罰するよう申し出た。孔明は関羽の首をはねろと命令したが、張飛を始めとして他の武将達が許しを請うた。劉備の頼みもあったので、孔明はそれを受け今後功績を立てることをもって関羽の償いとさせた。
赤壁に勝利した周瑜は南郡の侵攻を開始したのだが、その道中に劉備からの使者が待っており、周瑜を酒宴に招いた。酒宴の席には劉備と孔明がいた。周瑜は南郡近くに駐留している劉備に「あなたも南郡を狙っているのか」と訊ねた。それに劉備は「いいえ。しかし周瑜どのがいらないというのであれば」と答えた。周瑜は「わたしが南郡を奪えなければ、あとは好きにすればいい」と約束し酒の杯を掲げた。
酒宴からの帰途で魯粛が「なぜあのようなことを言ったのか」と諌めたが「南郡は確実に奪えるのだから大丈夫だ」と周瑜は笑った。
周瑜が帰ったのち、劉備は孔明へ「わたしもそろそろ安住の地が欲しいものだ」と言った。孔明は「ですから周瑜と曹仁を戦わせておけばよいのです」と意味ありげに返した。
周瑜の南郡侵攻は始めこそうまく進んだものの、いざ南郡の城へ突入すると曹仁の軍勢に奇襲をかけられ、毒を塗った弓矢により負傷してしまった。治療した軍医は「怒れば傷が開いてしまう」と言って静かに療養することをすすめた。
ところが曹仁軍が周瑜のいる砦までやって来て、出て来て戦えと罵った。兵士達も一斉に周瑜を罵倒する。怒った周瑜は応戦に出たが、血を吐き落馬した。だが、それは曹仁を油断させるための周瑜の芝居だった。
騙された曹仁は周瑜の陣営に夜襲をかけた。突入した周瑜の陣営はもぬけの殻だった。曹仁は自分をおびき込む罠だと気付いて引き返そうとしたが、隠れていた周瑜軍から火矢を浴びせかけられ大打撃を受けた。
多くの兵を失い、もう南郡を守りきれないと諦めた曹仁は襄陽へ撤退した。
意気揚々と南郡へ入ろうとする周瑜。
そのとき城壁に劉備の旗が立った。周瑜が曹仁と戦っている間を狙い、趙雲が手薄になった南郡を先に奪っていたのだった。奪回しようにも守備が堅く手が出せない。周瑜は南郡奪回は一旦先に延ばし、荊州と襄陽を落とそうとするが、すでにそこも関羽と張飛に占領されていた。
孔明の策略により劉備軍は戦うことなく領地を手に入れたのだ。孔明に裏をかかれ利用されたと分かった周瑜は激怒し、吐血したあげく倒れてしまった。
以上を踏まえてピックアップ
・曹操に命乞いを提案する程昱
「関羽は武勇だけではなく、義理人情を重んじると聞いています。殿は以前ご恩を施されました。逃がしてくれるよう頼まれてはどうです?」
前回、虫の息で置き去りにされた程昱が脅威の回復力で登場。軍師たるものベホマとまではいかずとも、ベホイミぐらい習得していなければ勤まらないのだ。そして張遼は前回出ずっぱりで奮闘したというのに、今回の登場は一瞬だけ。チンポジ発言がよくなかったらしい。曹操は祖父が宦官であったため、チンコ関係の話はタブーだったのかもしれない。
・食事の席で泣く曹操を案じる程昱
「郭嘉がいれば……」発言に度肝を抜かれる程昱。浮かれる曹操に程昱は何度も忠告していたというのに。それをまるでなかったかのように、かつて愛した郭嘉たんを思い出し傷心にくれる曹操。思い出は美化されるといいますが、泣きたいのは程昱のほうだ。
・戦勝報告に沸く劉備軍
やったね
「多くの戦利品を奪いました!」と聞き、劉備は「まことに神のような策略だ」と献策した孔明さまを褒める。孔明さまは「うまくいって当たり前」といわんばかりの澄まし顔でうなずく。
そこへ関羽が気まずそうに帰ってくる。酒をついだ杯を持って歩み寄る孔明さま。
「あ、関羽将軍。待ってたよォ。逆賊曹操を蹴散らしたんだよね。すごーい。それなのに、出迎えもしなくってごめんね」
「……」
関羽は苦しそうに視線をそらす。
「どうしたの? 顔色が悪いよ!」
顔色を悪くした理由なんて分かりきっているくせに、白々しくも心配してみせる孔明さまのドSっぷり。
孔明さまにしてみれば、あそこで関羽が曹操を討ち取っても逃がしても、どちらでもよかったのです。むしろ曹操が死んでしまえば呉の力が強大になる。そうなると真っ先に狙われるのは劉備です。だから劉備が強力な地盤を得て他の勢力に対抗できるようになるまでは、呉にとって曹操は脅威でいてもらいたい。
そうとは知らずに自分の不甲斐なさを悔いる関羽。
「曹操を逃がしてしまった……」
「ええー。でもさすがに戦利品はあるでしょ? まさか、よもや、手ぶらで帰って来たとかありえないでしょ?」
孔明さまも、ここぞとばかりに関羽をいじめます。
「……何もない」
「へえ、やっぱり」
劉備もビックリの極悪フェイス。
「曹操に恩義を返すために逃がしたんだ。誓約書がある以上は軍法通り裁くしかないねえ。はーい、じゃあ誰か関羽を外に連れ出して首を斬ってー。さよなら関羽」
助命を嘆願する武将達。弟のこととあれば、劉備も下手に出て孔明さまをなだめます。
「ふん」
劉備に対してもこの高慢ちきぶり。
というより劉備が必死になって関羽をかばうのがおもしろくないだけかもしれません。
今までは自分に逆らう関羽や張飛をなだめて、下にも置かない待遇をしてくれた劉備。でもどれだけ「孔明は賢いね」と褒められても、結局劉備にとって大切なのは義兄弟の関羽と張飛なのだと見せつけられてしまった。
別に本気で関羽を処刑する気はない孔明さま。その上で関羽いじめを楽しんでいたのだけれど、急につまらなくなって投げやりに言いました。
「じゃあ功績を立てて償ってもらうからね」
なんにせよ。
今回のことで関羽をはじめ、彼を庇った他の武将にも莫大な借りを作れたことは確実です。ちょっとヘコんだものの、めげずに劉備へ話しかけます。
「あと許してあげる代わりに、これからは毎日劉備さまと一緒に寝てもいいことにしよ──」
「さて。軍師どののお許しも出たことだし、今日の功績を肴に酒宴を開こうではないか。はっは」
「……うぅ」
・周瑜と孔明さまの再会in酒宴
「また会ったな孔明」
「うわあ。魯粛ちゃん、元気だった?」
「……」
「(スルーされてるやん)元気でっせ。孔明はんも元気そうで何よりです」
「うふふ。似た者同士が並んじゃったね。劉備さまと魯粛ちゃん、やっぱり似てるよ」
「孔明はんはそう言いますけど、ワテにはどこが似てんのかさっぱり分かりまへんなあ」
「自分のことって案外分からないものなんだね」
・劉備に無謀な約束をした周瑜
「ホンマにもう……」
南郡をとれなかったら、そのあと劉備がどうしようがご自由に。そう言った周瑜に魯粛は心中穏やかでいられない。
「また、あないなこと言うて……知りまへんで」
「あの劉備という男。この乱世であちこち流浪し負け戦を繰り返しながらもしぶとく生き残っている。なかなか食えない男のようだな。同じ穴の狢である孔明と気が合うわけだ。孔明を葬っておけなかったことがつくづく残念でならない」
「ワテこそ残念でなりまへんわ。もっと泰平の天下やったら、周瑜はんと孔明はん仲良うなれたかもしれへんのに」
「それはないな」
「なんでですか」
「ユーは孔明の性格を知っておいて、本当にそう思うのか?」
「まあ、相当ねじ曲がった性格してはりますけど、どうも憎まれへんのです。うちの陣営におったときも、よう話し相手になりに来てましたで」
「探りを入れていただけだろう、それは。孔明はつねに計算づくで動いている」
「それもあるんでしょうけど……。でもひとり高みに立って俯瞰してはるようなお人ですけど、それはそれで寂しんやろな思うてたんです。そのことに本人が気付いてはるかどうか……分かりまへんけど。ワテが思うに昔から人並みはずれて優秀な人いうんは、そういうところがあるんやないでしょうか。聡いだけに見えんでええもんまでよう見える。どこか周囲と馴染まれへん。そんな疎外感を引きずって生きてるんやないでしょうか。せやから仁徳なお人の劉備はんに付いて行こう思うたんやないでしょうか。そういう人の側におったら安らぐんでしょうな。利害が絡まんかったら人懐こいもんでっせ」
「まず、その前提が間違っているな。どれだけ平和な世の中でも、利害のない関係などありえんだろう」
「周瑜はんとは幼なじみの孫策さまともですか?」
魯粛は意外そうに言った。孫策は孫権の兄であり、周瑜とは断金の交わりと呼ばれた親友だった。その孫策の遺言もあって周瑜は孫権をよく補佐していた。
「死んだ人間と、どうやって親交を結べと言うんだ」
「……なんか冷たいように聞こえますけど。そんな、もう忘れたみたいな言い方せんでも」
「孫策は俺にとって唯一無私でいられる、最初で最後の存在だった。でも、もういない。だからそんな関係は存在しない。しなくなったんだ。たしかに俺は冷たい人間だろう。死んだ人間に思いを馳せるでもなく、ひたすら忘却という慈悲を今でも毎日願っているんだからな」
「あの……ワテ……いらんこと言うて、すんまへん」
「……」
周瑜は思い詰めたような顔で前を見つめていた。美周郎ともてはやされる周瑜の精悍な容貌は、ひとたび黙ってしまうとひどく冷たく見える。酷薄な冷淡さといよりは誰もよせつけない孤高の険しさだった。魯粛はうかつに孫策の名を口にしたことを後悔した。
「ホンマおこがましいこと言いますけど、なんの慰めにもならんやろうけど、ワテでよかったらいつでも話し相手になりますさかい、元気出しておくんはなれ」
周瑜は相好を崩した。
「ユーは本当にお人好しだな。孔明を真似て困らせてみただけなんだが、ちょっとお灸が効きすぎたようだな。気にするな。魯粛は今でもじゅうぶん俺の助けになっているじゃないか」
黙りこくる魯粛。孔明さまが「ぼくと周瑜は似ている」と言った意味が少し分かった気がしたのでした。
・周瑜の南郡侵攻に不安になる劉備
「周瑜に南郡をとられてしまうと、わたしは再びさすらいの身になってしまう。そろそろ安住の地が欲しいのだが」
劉備が言うと、孔明さまは頬を赤らめうつむいた。
「分かりました。しあわせにしてください」
「民のしあわせなら、いつも願っているが?」
「そうじゃなくて、ぼくのことしあわせにしてください。頑張っていい奥さんになります」
「いまいち話が見えないな」
「だってふたりの安住の地が欲しいだなんてプロポーズでしょう?」
「……ふたりの?」
「言ってない?」
「言ってない」
「……えっと」
「周瑜に南郡をとられてしまうと、わたしは再びさすらいの身になってしまう。そろそろ安住の地が欲しいのだが」
優しい劉備は話を戻し、孔明さまの暴走をなかったことにしてくれたようです。
「し、心配いりません。いりませんとも。いるもんか。曹仁と周瑜を戦わせておけば、南郡は劉備さまのものになるよ。ちゃーんと考えてあるんだから」
「ふむ。孔明に任せるか」
・お芝居で倒れる周瑜
派手に血を吐いておきながら、あとで演技だと言い張る周瑜。デニーロもびっくりの演技。でも、これはどっちかと言うとやせ我慢の芝居じゃないのか。
元祖吐血イケメンの名はダテじゃないぜ!
・孔明さまに利用され、ついにブチ切れた周瑜
キィー!
「あのドグサレが。許さん。絶対に許さん」
「大都督、落ち着いてください。傷が開きますから」
「うるさい。孔明を縛り上げて犯してやる。毎日規則正しく犯してやる。いいか、いきなり全裸にはしない。少しずつ脱がせながら、やめてよゥぼく男の子なのにこんなの嫌だよゥとか言わせてやるッ」
「大都督、人前で性癖を披露しないでください」
「ふん。嫌がるのは最初だけだ。そのうち従順になってこう言い出すんだ。ご主人さまのおチ……ミル……くだ……」
つづく
「またね」「変態だらけだ……」
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