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応援団やサムライうさぎについて。あとはアニメ三国演義の歪曲感想とか。

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 昔「いぬまんが」って本があったんですよ。
 犬の写真に一発ギャグ的なものや、ちょっとシニカルなコメントがついてたりして、本当に漫画みたいな作りになっている代物です。全部が繋がって1話になっているワケではなく、短編がたくさん載っている感じ。
 今は犬や猫の面白おかしい本がいっぱいありますけど、その当時は本屋でその手の本は少なかった。殆どが飼い方とか、もう一歩踏み込んだしつけの指南書や、難しい学術書だったり、あとはただの写真集ばかりだったので、犬の写真とそれにコメントをつけて面白く読ませるものは珍しいなぁと思って「いぬまんが」を手に取って読み始めたんです。(ちなみにその頃のマチカさんはピチピチの、というかパツパツの女子校生でした)
 すると面白くてどんどん読めちゃう。それで読み進めるうちに、ちょっと雰囲気の違う展開が出て来たんです。
 覚えている限り書き出してみるとこんな内容です。(マチカさんも詳細まで覚えていないので、脚色気味にお送りいたしますワン)

**********

 そのお話の主人公であるワンコが暮らす家には少女がいます。少女は幼い頃からワンコと大の仲良しで、ワンコも少女のことが大好きでした。
 やがて少女が大きくなって高校に入学するのですが、なかなか新しい環境に馴染めない。
 でも誰にもその不安を相談出来ずに、唯一正直な気持ちを打ち明けられるのはワンコだけ。だけどワンコは人間の言葉が話せないから、少女を励ましてあげられない。ただ話を聞いてあげることしか出来ません。
 ワンコはそれが心苦しいのですが、実は少女にとって、それこそが大切な時間だったのです。
 そんな日々が続くうちに、少女は次第に学校の生活に慣れていきます。友達も出来て、やっと高校生活を謳歌し始めたのです。そうなるとワンコと一緒に過ごす時間よりも、学校の友達と遊ぶ時間が多くなりました。
 ワンコは寂しかったのですが、少女の楽しそうな姿を見ると「これで良かったのだ」と思うようになりました。そして少女を静かに見守ることにしたのです。

「だって僕は犬だから、本当の友達にはなれないもの」

 それから時は過ぎてゆき、少女がアルバイトを始めました。学校の友達とスキー旅行に行くためのお金が必要になったからです。
 ワンコはますますひとりで過ごす時間が多くなりました。でも少女が一生懸命アルバイトに精を出す姿に「頑張れ、頑張れ」と心の中で応援をしていました。
 そして、お金がもう少しで目標の額まで集まりそうになったある日──。
 少女は自らの命を断ってしまいました。
 突然のことでワンコは茫然としてしまいます。だって自殺する理由なんて思い当たらない。
 ワンコは少女の在りし日の姿を思い出します。散歩に行ったこと。ボールで遊んでくれたこと。冬の寒い日には毛布を持って来て、そっと身体に掛けてくれたこと。
 一緒に過ごす時間は少なくなったけれど、少女はワンコと目が合えばいつも笑ってくれていたのに。
 だけど優しかった少女は、もうこの世にいないのです。ワンコはお葬式を庭からぼんやり眺めるばかりでした。
 そして参列者の中に少女の友達がいるのを見付けたワンコは、彼女達に感謝しました。

「あの子に楽しい思い出を作ってくれて、ありがとう」

 しかしその思いは打ち砕かれます。
 焼香を終えた彼女達は家から出ると、今までの悲しそうな顔を一変させて笑い始めたのです。それから口々にこう言います。
──本当にスキー旅行に誘われてると思ってたんだから笑えるよね。
──あたしらのこと友達だと勘違いしてさぁ。
──そうそう。ずっとからかってただけなのにね。
 ワンコは目の前が真っ暗になりました。
 彼女達は少女に楽しい思い出を作ってあげたどころか、逆に悲しみの底に突き落とした張本人に違いありません。絶望して死んだ少女のことを思うと、ワンコは胸が張り裂けそうでした。
(ねぇ、誰か気付いて。この人達が悪いんだよ)
(なんで笑っていられるの? あの子に謝ってよ!)
 でもやっぱりワンコは人間の言葉が話せないから、そのことを誰にも訴えられません。
 そして。
 このお話の最後はワンコの独白で終わります。

「だから僕は彼女達に向かって鳴きました。おうちの人に怒られても、ぶたれても吠え続けました」

**********

もうねぇ。マチカさんは、もともと動物ものに弱いんだけど、こんなの読まされたら号泣ですよ。本屋で鼻水垂らして泣いてんだから、周囲の人達はさぞ気持ち悪かったことと思います。
だって少女を健気に愛し続けたワンコが可哀相でさぁ。しかも何の救いもないラストでしょ。
まぁ、ラストで天使の姿にでもなった少女が現れて、ワンコに「キミとの思い出があるから、私は幸せだったよ」とでも言えば、逆に萎えてしまう気がしますけどね。
そんな、心に残っているお話でした。
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