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応援団やサムライうさぎについて。あとはアニメ三国演義の歪曲感想とか。

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(今週のあらすじ)
 周瑜の死を知った曹操はふたたび呉へ攻め込もうと考えた。しかし、その隙に西涼の馬騰に攻め込まれることを懸念して、まず馬騰を許昌へ招くと殺害した。
 馬騰が殺されたと知った息子の馬超は韓遂と復讐を誓い、曹洪が守る潼関の関所を攻めた。曹操も軍勢を率いて向かったが、到着する前に関所は落とされていた。
 そこで対峙する曹操と馬超。曹操は西涼の兵士の容姿は変わっている、と怪訝そうにした。すると部下の賈詡が「かつて西涼にはローマ軍の生き残りがいたと聞いています。その子孫なので装束も変わっているのでしょう」と答えた。
 いざ戦いが始まると、馬超の強さは呂布にも匹敵し、曹操は圧倒されてしまう。馬超に追われた曹操は、攻撃を避けるため森へ逃げ込んだ。それでも馬超は曹操を追い上げ背後まで迫った。馬超の槍が曹操に狙いを定めたが、振り上げた槍が木に刺さり逃がしてしまった。
 あと一歩だったというのに、仕留め損ねたことが悔しく、馬超は次の攻撃に備えて西涼から援軍を呼び寄せた。それを知った曹操は驚くどころか逆に喜んだ。馬超が援軍を呼べば、それだけ西涼の守りは手薄になるからだ。曹操は徐晃に兵を与え、西涼を背後から襲わせ、みずからは馬超の軍勢を分断させるため渭水を渡ろうとした。
 すると、そこへ矢が雨のように振ってきた。馬超が奇襲をかけてきたのだ。曹操は許褚に守られ、なんとかその場を切り抜けた。
 曹操は馬超のさらなる攻撃を防ごうと、土を盛って砦を築かせようとした。しかし砂地であるため作業がはかどらず兵士は疲労するばかりだった。困り果てた曹操のところへ、ひとりの老人が献策したいと訪ねて来た。その老人は「夜のうちに盛った砂へ水をかけておけば、翌日には凍って堅牢な砦が完成する」と言う。その妙案に曹操は感謝し、しばらく滞在するよう願ったが老人は立ち去った。
 さて、砦が完成した翌日、曹操は許褚を連れて陣を出た。そこへ馬超があらわれたが、許褚が護衛しているので曹操に手出しが出来なかった。
 許褚が馬超と一騎打ちで勝負がしたい、と曹操に願い出た。曹操は承諾し、馬超へ果たし状を送った。それを受け取った馬超は、かならず決着をつけてやると憤慨した。
 翌日、許褚と馬超は両軍が見守るなかで一騎打ちを始めた。互いに一歩も引かない壮絶な打ち合いが続く。日が暮れても拮抗したまま勝負かつかない。先に馬が疲れてしまい、馬を代えてふたりは戦った。
 やがて韓遂が自軍に命じて矢を射かけさせたので、曹操は許褚を呼び戻し、退却せざるを得なかった。馬超に押され続ける曹操だったが、徐晃の進軍が成功したとのしらせが入り風向きが変わった。そこで、次なる手として奸計を用い、馬超と韓遂の関係を悪化させようと目論んだ。
 曹操は馬超軍の前まで行くと、韓遂だけと話がしたいと言って呼び出した。そして出て来た韓遂と、以前都にいたころの思い出話をしただけで帰った。
 わけの分からない韓遂。馬超は何でもない振りをしていたが、内心で韓遂と曹操が内通しているのではないかと疑った。次いで曹操は韓遂へ手紙を送った。手紙はところどころが墨で塗りつぶしてあり、またしても韓遂は困惑する。手紙が届いたと知った馬超は韓遂に見せるよう迫った。肝心な部分が読めないようになっていた手紙を見た馬超は、自分に読まれては不味い部分を韓遂が消したのだと思い込む。疑われていると知った韓遂は、自分が裏切るはずのないことを訴えたが馬超の疑惑は深まるばかりだった。

以上を踏まえてどこまでも噓っぽいレビュー

 今回、孔明さまは全く出て来ませんでした。本当はしっかり暗躍していたのですが、省かれてしまったのでご紹介したいと思います。
 まず曹操が呉を攻めるつもりであるとの情報を掴んだ孫権。「大ピンチじゃん!」と周囲に相談すると、じいやの張昭が「劉備に協力させなはれ。劉備は魯粛にたっぷり恩がありますさかい、魯粛が手紙を送ればさすがの劉備も言うこと聞きますやろ」と助言したので、さっそく孫権は魯粛に人をやって頼みました。連絡を受けた魯粛は劉備へ手紙を送ります。

 ──お元気ですか。突然ですが未亡人っていいですね。夫を亡くした悲しみにくれる姿が儚く、妙に色っぽくてそそるものがあります。それに劣情を抱いてしまう背徳感が、なんとも言えない尾籠な気分をもよおし、悶々とした毎日を送っています。あのおかたも後任を託すついでに、妻も託してくれればよかったのにと思うことしきり。
 そういえば曹操が三十万の軍を動かして、呉に進軍するつもりらしいので、援軍を送って欲しいと孫権さまが言ってましたよ。放置すると孫権さまが飲んだくれて、みんなが迷惑するので、なるべく早く援軍を送ってください。よろしく。
 追伸
 わたしの喋り方が張昭どのとカブるのは、やめてもらいたいと思います。

 手紙を読んだ劉備は南郡に出ていた孔明さまを呼び寄せて相談しました。
「なあ、孔明。趙雲のように美人でも未亡人は中古だから嫌だという人間もあれば、魯粛どののように未亡人にハマる人間もいるのだな」
「……魯粛ちゃん元気そうだね。それで劉備さまは未亡人談義をするためにぼくを呼び戻したわけ?」
「ははっ。違うよ。孫権が曹操の侵攻にそなえて江南へ援軍を送って欲しいそうだ。魯粛どのに恩はあるが、正直送りたくない。どうやってごまかそうか」
「ああ、それなら曹操が江南を狙ってる場合じゃなくすればいいんでしょ。劉備さまがお手紙書けば済む話だよ」
「誰に送るのだ?」
「曹操は西涼が隙をついて攻め入ってくるのを常に恐れてるからね。それで馬騰をおびき出して殺害したわけだけど、息子の馬超が黙ってるはずがないもん。だから劉備さまは馬超に『曹操が憎いのは自分も同じ。恨みを晴らしたいなら協力します』ってお手紙を送って、長安を攻めるように仕向ければいいんだよ。馬超をぶつければ、曹操は江南どころじゃないもん」
「そう、うまくいくだろうか」
「馬超は慎重なタイプじゃないから、こっちが協力する姿勢を見せておけばすぐに動くよ。手紙を送るだけで馬超と孫権に恩が売れるんだから、今回は楽でいいね。あと魯粛ちゃんの顔も立つし」
「ついでに未亡人を落とす方法でも教えてやったらどうだ」
「そういうの劉備さまのほうが断然詳しいんじゃないの。あ、得意なのは若い子だったっけ?」
「……さて、ほうれん草に水でもやってくるか」

 といった具合で、馬超の曹操攻撃の裏に孔明さまの根回しがあったんだね。相変わらず腹黒いです。


・西涼の兵士はテルマエ・ロマエのルシウスと親戚なのか
 ルシウスがお風呂技師として活躍していた頃が130年代らしいので、曹操VS馬超は80年ほどあとの時代になりますね。馬超がローマ人の血を引いている設定なのか知りませんけど、もしそうだとすれば馬超から見て曹操達は「平たい顔族め!」といったところか。

 馬超は常時ノースリーブ!

 そんな馬超は呂布と並ぶ、麗しの武将として紹介されてるんだね。「顔は生まれつきおしろいを塗ったように白くて、唇は紅をさしたように赤い。肩は広くて腰は細い」だそうです。「馬超の腰は細い」か。……これ重要な気がする! 全国統一やおい模試に出る気がする! メモしとかな!
 当時は男も色白がイケメンの条件なんでしょうかね? ちなみに馬超は十七歳の若かりし頃にも一度登場していて(第十回)、その時は「色白で容貌は冠の宝石みたいにキレイで、目は流れ星みたいにキラキラです」だってサ。少女漫画に出てくるような美少年じゃないか。
 そんなふうに勇猛なだけではなく男前で華麗だったので、惚れっぽい曹操は「ふうん。父親の馬騰より男前だな。彼って、ちょっと素敵じゃない?」と、ときめいちゃう。
 でも孔明さまだって初登場のときは馬超と同じく「面如冠玉」と紹介されて男前扱いだわよ。いや、劉備も面如冠玉で口紅塗ったみたいな唇だと描写されていますが、すごくどうでもいい気分になります。いえ、劉備の本質は見た目どうこうじゃないと言いたいだけですよ。やだなあ。
 んで、演義世界の男前といえば周瑜。周瑜は「姿質風流、儀容秀麗」。何かに例えるとかじゃなく、もうストレートに描写されてんだね。周瑜の美しさの前には、どんな比喩も陳腐になってしまうのか、それとも「ハイハイ、イケメンですよ」と投げやりなのか、どっちなんですか羅漢中先生!
 なんとなくですが、作者の羅漢中先生は非リアだったんじゃないでしょうか。だからリア充の周瑜を筆でコケにしたに違いないです。
 あ、顔で思い出したわ。
 その昔、買ってもらった陳舜臣てんてーの「諸葛孔明」に萌ゆる部分があった。
 赤壁で周瑜が呉の軍勢を前にして演説し、孔明さまと劉備はそれを尻目に曹操が敗走したときに、どう行動するか地図を見ながら相談している場面から引用。

 周瑜は夏口で、全軍を上陸させた。そこで訓辞したのだが、士気を高揚させると同時に、そこで待機していた劉備軍の主力にたいする示意の目的もあった。
(曹操がいかに残虐か訴える、周瑜の演説が続くので中略)
「われらはどんなことがあっても、彼らを粉砕しなくてはならない!」
 全員が水をうったように静まり返っていたが、やがて怒濤のような雄叫びが上がった。
「声涙ともにくだる大演説だな」
 劉備はそう言って、べろりと舌を出した。いまだに庶民の生地がのぞいて行儀はよくならない。
「あの顔だから効果があるのです」
 と、孔明は言った。
「あの顔とは?」
「周郎と呼ばれる優さ男。美しい顔をしているでしょう、彼は。そんな美男があのような悲壮な演説をするので、みんなが興奮するのです。奮い立つのです」
「あれが美しい顔か」吐きすてるように劉備は言った。「我が諸葛孔明のほうが、よほど立派な顔をしているわ」
「話を元に戻しましょう」
 孔明は卓上の紙に目をやった。


 照れてますよー! この人、照れてますよー!
 まあ、立派な顔なので、別に「孔明のほうが男前だよ」と言われているわけではないのですが「美男の周瑜よりも孔明のほうがタイプだなー」と言ってるようなものなので「もうっ。劉備さまったら……」と乙女気分の孔明さまジャマイカ。しかも、さりげなく「俺の」と頭に付けるところが、人たらし劉備のプロの技ですよ。
 人気者の彼が自分をどう思っているのか不安な時に「俺の」なんて独占するようなことを言われたら「今すぐここで抱いて。獣のように体を求めてよ!」と感激すること山のごとし。孔明さまの目の前に広がるのは、赤壁周辺地図なんかじゃなくてふたりの未来予想図だったに違いありません。
 でも、こういうことをサラッと言う男は、確実にみんなにも同じこと言ってますからね。未来予想図は苦難の道のりの連続ですよ。モテる男に恋してしまったんだから仕方ないね。


・ものすごい勢いで馬超に追いかけ回される曹操
 対峙したものの馬超が強すぎるので、ひとまず馬で逃げる曹操。でも「赤い戦袍を着たのが曹操だ」とバレてしまったので、曹操は戦袍を脱ぎ捨てる。これで一安心かと思えば「ヒゲが長いのが曹操」とバレた。すると曹操は躊躇なくヒゲを切り落とした。

 風に舞うヒゲ 切ない

 それなのに「ヒゲ切ったらしいから、短いのが曹操」と、ごまかしてもすぐに伝わってしまう。曹操は旗をちぎって首に巻いて逃げたのでした。
 さすが笑いを取ることに貪欲な曹操さんやでえ。そのためなら、ヒゲなんか惜しくないんだ!

 気にしないもん!


・次から次へひどい目にあう曹操
 馬超が兵を西涼から集めていると聞いて、曹操は「根拠地を手薄にするとは、馬超もアホめ」と喜びます。そこで徐晃を西涼へ出発させました。そうやって馬超の退路を断たせるためです。そしてみずからも兵を率いて渭水を渡り、馬超の軍を挟み撃ちにする作戦に出ました。
 アホ呼ばわりされた馬超ですが行動力は抜群です。曹操が渭水を渡ろうとしているという情報を得て急襲しました。曹操が船に乗り込もうとしていたところを馬超が襲う。
 この辺りの曹操が、原本ではやけに悠長なかんじに読めるからおもしろかった。
 原本ではこんなふう。

 矢が飛んできたので兵士達は馬超が来たと悟って、大混乱に陥り、一斉に船に乗り込もうとした。しかし曹操は岸辺に腰を降ろしたまま動かず、騒ぐなと命じていたのだが、ついに馬超の軍勢が押し寄せた。
「敵がすぐそこまで来てんですよ。早く船に乗ってください!」と許褚が曹操をせかす。それでも曹操は「別に来たっていいじゃん」とぶつくさ言う。


 悠長というよりは、ふて腐れてんでしょうか。
 アニメに話を戻して。
 曹操を助けにきた許褚。曹操の手を握り、降り注ぐ矢の雨を馬の鞍を盾にしながら曹操を守って逃げます。惚れっぽい曹操なら、このシチュエーションにときめいてもおかしくないのですが、そうでもなかったです。やっぱアレか。曹操は面食いなんか。

 鞍を盾に…って、当たらんかコレ?

 許褚の陰に隠れていればいいようなものの、曹操は身を危険にさらしても画面に映り続けることを選んだようです。曹操の芸人魂はホンマもんや!


・ふしぎな老人が訪ねて来たよ
 馬超を防ぐため、土で砦を築こうとした曹操。でも砂地なので、すぐ土が崩れてしまう。第一ここはクソ寒い。兵士は寒さで震えるわ、馬超は怖いわ、で曹操は家に帰りたくなった。ひとりでいじけていると、見知らぬ老人が献策したいと訪ねて来た。藁にもすがる思いで曹操は面会しました。
「して、先生のお名前は?」
「この世では名前など、単なる記号にすぎません」
 と老人は、やけに中二病くさいことを言います。一瞬不安になった曹操なのですが「何を教えていただけるのですか?」と訊ねました。すると老人は「なぜ砦を築かないのですか」と言いました。
「築こうとはしとるんですがな。この辺りは砂地でうまく築けないのです」
「兵法を熟知していらっしゃる曹操さまが、こんなこともご存じないとは。夜、気温が低いうちに土で砦を築き、水をかければ凍り付くのが道理。カッチカチになります」
「どこかで聞いたことのあるフレーズですが……カッチカチですか?」
「カッチカチです」
「カッチカチになるんですね?」
「カッチカチやぞ! ゾックゾクするやろ?」
「やだ、スゴイ!」
 というわけで、曹操の砦は一夜にして完成したのでした。こんな寒いところで常時ノースリーブの馬超は元気ありすぎだ。


・一騎打ちだよ全員集合
 砦も出来たし、随分と機嫌の良くなった曹操。許褚をつれて馬超を煽りに行きます。
「やーい馬超見てみろ。一晩で砦が出来たぞ! カッチカチやぞ! ゾックゾクするやろ!」
「うるさいわ、ボケェ! ちょっと覚えたフレーズを使いたくって来ただけじゃろがァァ!」
 馬超が馬に乗って陣営から飛び出して来ました。しかし曹操の傍らで許褚が睨みを利かせているのを見ると、馬を止めて訊ねました。
「そういや、おんどれの軍に虎候いう奴がおるらしいな。どこにおるんな?」
「おまえの目は節穴か! ワシじゃボケェ!」
 許褚が刀を抜いて叫びました。
「はあん? おめえか。またアホそうな面しとるの」
「おまえに言われたないわ。頭に人間やのうて、馬の脳が入っとるらしいなあ?」
「うるせえデブ。豚はおとなしゅう豚小屋に帰れや」
「バーカ」
「デーブ」
「バーーーカ!」
「デーーーブ!」
「イラつくわ! ワシとタイマンはれや。どつき回して、余計アホにしたるわ!」
「おお、やったらあ。おんどれ取っ捕まえて市場に出荷したらあ」
「曹操さま、こいつやっちゃっていいですよね?」
 許褚は怒りで震えながら振り向きました。すると曹操は袖をまくり上げて言いました。
「カッチカッチやぞ!」
「……フレーズが気に入ったのは分かりますが、さすがのわたしも、ちょっとイラッときます」
「ああ、一騎打ちするんなら明日にしろ。厚着して来なかったから寒いし、お腹空いたし」
「分かりました」許褚は丁寧に頭を下げてから馬超を睨みました。「絶対ぶち殺したるわ」
「楽しみじゃのう。もちろん、おめえの泣きっ面がじゃ」
「バーカ!」
「デーブ!」
 そして翌日。
 左右に分かれた両陣営。その中央へ騎乗した馬超が颯爽と躍り出ました。
「曹操の飼い猫が! 遊んでやるから出てこんか!」
 ブタから飼い猫へ。なんだか、かわいらしくなっております。馬超は許褚が虎候と知ったので、飼い猫呼ばわりしたんでしょうね。
 飛ぶように馬を走らせる馬超を見た曹操は諸将を顧みて言いました。
「馬超の剛勇は呂布にも劣らんな」
 その言葉が終わらないうちに、許褚は馬を蹴立て雄叫びを上げながら飛び出ました。曹操は呂布の名前を出して、許褚に発破をかけたようです。
 馬超と許褚は百合以上打ち合ったのですが勝負がつかない。先に馬が疲れてしまった。
「おい、馬を代えて続けるぞ」
 馬超が持ちかけると許褚も応じました。陣営に戻った馬超は水を飲んで一息つきます。その頃、イライラが頂点に達していた許褚はなぜだか甲冑を脱ぎ捨て、もろ肌を脱ぐと馬に飛び乗り突進して行ったので、両陣営の全員が呆気にとられました。

 おい誰が乳首券を使っていいと言った

 この番組では貴重な乳首券の、前回の使用者は黄蓋でした。そして今回は許褚です。
 責任者は、ちょっと出て来てもらいたい。あるでしょうが。もっと使いどころがあるでしょうが。張遼とか甘寧とか孔明さまとか孔明さまとか孔明さまとか。
 CD買って握手券がついてくるなら、三国演義のDVD買って乳首券はついてこないんでしょうか。それとも土下座をすれば乳首が見せてもらえるのでしょうか。当方のプライドは紙くず同然ですので、乳首のためなら土下座をいとわない所存でございます。

 さて再戦開始の馬超と許褚。三十合ほど打ち合ったのち、馬超の槍が許褚のみぞおち目がけて突き出された。あわや串刺しかと思われましたが、許褚は手で槍を掴んで防いだ。ふたりは槍の両端を握って奪い合う。やがて槍が音を立てて割れると、今度は折れた槍でお互いをバキバキに殴り合った。
「曹操さま。豪傑同士の一騎打ちというものは、凄まじいものですね。この寒空の下でも熱気が伝わってきて汗ばむようです」
 賈詡が感心したように言った。賈詡にしてみれば、馬超との対戦は二度目です。上記の馬超十七歳のころに、賈詡は参謀として別の軍にいたのですが、馬超の父親馬騰と韓遂から攻撃を受けていたのです。たくましく育ったなあ、とか思ってたかもしれませんね。
 曹操は短くなったヒゲを触りながら笑いました。
「ふふ。ワシはユニクロのヒートテックを着ているから、もともと寒くないぞ! 薄いのにこの温かさ。もう手放せんわい。野戦のお供にヒートテック!」
「……曹操さま。スポンサー以外の商品を宣伝するのは御法度ですよ」
「宣伝すればお礼でどっさり送ってくるかもしれんだろ」
「どうでしょうねえ。曹操さまで宣伝効果があるかどうか」
「なんだと!」
「おや、向こうの陣営に動きが……? いけません、弓を構え始めましたよ。すぐに許褚を呼び戻してください」
 馬超の軍勢が矢で攻撃を始めました。許褚は甲冑を脱いでいたので矢が刺さってしまいます。それでもなんとか曹操軍の砦へ戻りました。


・ちょっぴりセンチメンタルな曹操
 曹操はみずから許褚の矢傷を手当をしてあげます。

 優しいぜ、曹操さま

「これに懲りたら、もう裸で戦場へ出るな」
「すんません」
「ところでワシにも乳首券の支給はないのか?」
「さ、さあ?」
 そこへ徐晃が西涼の封鎖線を超え、進軍に成功したとしらせが入りました。そのしらせは馬超にも伝わります。

「まずいことになったな、叔父上」


左が叔父の韓遂。ダンディでかっこいいな!

「曹操は許褚に決闘を申し込ませ、われわれの注意を引きつけ、その隙に乗じたようだな」
 苦悩の表情を浮かべる韓遂。馬超はカンカンに怒ります。
「曹操はほんまに悪賢い悪党じゃな」
「ここから先はどうすべきか……」
「どうもこうもねえわ。戦うしかなかろうが」
「まだ曹操を倒してもいないのに、西涼に攻め込まれてしまったのだぞ」
「我が軍の士気が高いうちは、絶対に撤退なんかせんからな!」
「馬超よ。士気が高いだけでは戦えない。われわれは曹操に前後を挟まれてしまったのだ。それがどれだけ不利か分かるだろう?」
「……分かっとるけど」(※分かってません)
「ここは曹操と和平を結び、来年の春を待つべきだろう」
 馬超は納得しませんでしたが、韓遂は手紙を持たせた使者を曹操へ送りました。
 手紙を受け取った曹操は賈詡に訊ねます。
「この和平の要請をどう思う?」
「受け入れたふりをしたのちに、反間の計をもちいて馬超と韓遂に仲間割れを起こさせるのです。そうすれば簡単に打ち破ることができるでしょう」
「同じことを考えていたようだな。馬超は呂布に劣らない剛勇だ。しかし呂布と同じように策略を持たん。その呂布には陳宮が軍師でついておったが、馬超にはそれすらない。韓遂を失えば奴はおしまいだ」
 曹操は陳宮のことを思い出し未練をのぞかせました。その昔、手に手を取り合って駆け落ちした相手は、いつまでたっても忘れられないようです。
 なんだか最近は昔のことばかり思い出してしまう。これも年を取ったせいなのか、と曹操は思いを巡らせてから言いました。
「よし。明日、ワシが直接韓遂を訪ねよう」


・馬超ドッキリ大作戦
 翌日。
 左右に諸将を引き連れ、曹操は陣営を出ました。そして韓遂配下の兵士に、韓遂だけを呼び出すよう命じます。
 単騎で進み出た曹操。韓遂配下の兵士は直接曹操を見たことのないものが多く、一度見物しようと陣営から出て来ました。
 このあたり戦争中なのに無邪気というか、のどかでいいですね。
 見物客でごった返し、曹操はスター気分。上機嫌になって言いました。
「おまえたち、この曹操が見たいか? 目が四つ、口が二つあるわけでなし、おまえたちと同じ普通の人間だ。ただ、人よりちょっと知恵があるだけだ」
 曹操を見ながら、兵士達はひそひそ話をします。
「平たい顔族だね」
「平たいね」
「噂通りヒゲが短いね」
「馬超さまに追いかけ回されて、切り落としたのってマジだったね」
 そんな噂話をされているとも知らず、曹操は一発芸のひとつでも披露しようかと袖をまくり上げたとき、韓遂が馬に乗ってあらわれました。
「わたしに話があるとか?」
「カッチカ……お、おう。韓遂将軍か。よく来てくれた。将軍の父上とわたしは同年に考廉に推挙され、わたしは実の叔父のように敬愛していたものだ。また、きみとは同年に役人になったが、将軍は今年でいくつになられるのかな?」
「わたしの年を聞いて、どうされるのですか」
「いや、歳月が流れるのは早いと思ってな。将軍、子供は何人おられる?」
「一男一女がいますが……」
「それはけっこう。ちなみにわたしは三十人近くおるぞ」
「多いわ!」
「ふふ。魏の種馬とは、この曹操のことだ。この年になっても現役だぞ。カッチカチやぞ! ゾックゾクするやろ?」
「するかアホンダラ! 結局下ネタ言いにきたんか?」
「ワシの暴れん坊将軍は馬並だ!」
「もう、おまえ帰れよ!」
「じゃあね〜」
 曹操は馬首をめぐらせ陣営へ帰ってしまいました。韓遂も首をかしげながら戻ります。すぐに馬超がやって来て訊ねました。
「叔父上は曹操と何を話したんな?」
「種馬でカッチカチとか」
「はあ?」
「いや、昔話をしただけだ」
「軍事のことは話さんかったんか?」
「曹操が言わないのだから、わたしからも持ち出せないだろう。わけが分からなかった」
「……ふん」
 馬超は韓遂が曹操と内通しているのではないかと疑心を抱きますが、その場は何も言わずに立ち去った。
 一方曹操陣営。
「あれで馬超は韓遂を疑っただろうか?」
 曹操が賈詡に訊ねました。
「まだ足りませんね。もう一押ししましょう」
「何か妙案があるのか?」
「馬超は機略については無知です。曹操さまは韓遂へ手紙を書いてください。そしてところどころ字をぼやかし、肝心な部分は塗りつぶしたり書き直したりするのです。曹操さまから手紙が届いたと知れば、馬超はきっと読みたがるはずです。しかし手紙の重要な部分が消されているのを見て、知られてはまずいことを韓遂が咄嗟に塗りつぶしたのだと思い、ますます疑いを深めるでしょう。わたしのほうも韓遂の部下を取り込み裏工作を進めますので」
「はなはだ妙案だ。きっと馬超は騙されるな」
 曹操はさっそく手紙を書いて、賈詡の助言通りにすると韓遂へ届けさせました。
 受け取った韓遂は意味不明の手紙を前に困惑しました。そこへ馬超が来ます。
「叔父上。曹操から手紙が来たとか?」
「これなのだが、さっぱりわけが分からないのだ」
「この塗りつぶしてあるのは?」
「はじめから、こうなっていたのだ。間違えて下書きを送ってきたのだろうか」
「曹操は慎重な男じゃけえ絶対に間違えるわけねえ。叔父上、ホンマは昨日曹操と何を話したんな?」
 馬超が疑いの目で見ていることに気付いた韓遂は慌てます。
「誤解するな、馬超!」
「叔父上は俺を裏切るつもりなんか。力を合わせて曹操を倒そう思うとったんは、俺だけだったんじゃな」
「信じられないというのなら、明日わたしが陣営の前で曹操と話す。おまえはその時に隙を見て曹操を殺せ」
「それで叔父上の本当の気持ちが確かめられるんじゃな?」
「ああ、わたしが裏切るものか」
「……ふん」
 馬超は不服そうに韓遂の陣幕から出て行きました。しばらくして韓遂の部下達(買収済)が陣幕へ入って来て言います。
「もう何をしても馬超の疑いは深まるばかりです。殺される前に曹操に降伏したほうがいいですよ」
「しかし、わたしは馬超の父と義兄弟の契りを交わしているのだ。裏切ることなど……」
「迷っている時間はありませんよ。将軍がご命令をくだされば、われわれが馬超を捕らえて曹操に差し出します」

「いや、もう遅い!」

 そう叫んで韓遂の陣幕へ突入してきたものがいた。
 というわけで次回につづく。


「またね」「殿。乳首券は勘弁してください」
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